OLCグループでは、ESGマテリアリティのひとつに「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」を定めています。
さまざまな強み・個性・価値観を持つ従業員同士が、互いに認めあい、活かし高めあうことで、生き生きと働くことができると考えます。
そのうえで、仕事に情熱を持って取り組むことができ、会社と仲間への安心感・信頼感を持つことができる状態を目指していきます。
また、従業員が私生活を充実させながら活躍できるよう、仕事と生活の調和を支援する制度を整えるとともに、それを支える風土づくりにも努めています。
多様な従業員が活躍するためには、ベースとなる人権尊重が不可欠です。『OLCグループ人権に関する基本方針』では、「OLCグループは、多様な背景を持つ人々の人権が守られ、お互いの違いやアイデンティティが尊重される職場環境を構築していきます。あらゆるハラスメントを許さず、性別、年齢、人種、国籍、言語・文化、宗教、障がいの有無、性的指向、性自認などの理由で誰もが差別されることなく、一人ひとりが持つ多様な能力が発揮できるよう支援します。」と定めており、従業員を含む、ともに働く人々の人権を尊重します。
【リスク】
・人権尊重への対応不足によるリスクの顕在化
・顧客の多様性対応不足による体験価値の低下
・従業員の多様性対応不足による従業員エンゲージメントの低下
【機会】
・変容する社会や顧客ニーズへの対応による体験価値向上
・多様な人材と価値観による事業価値向上
従業員が多様性への理解を深めるために、従業員に対して、多様性推進に向けた取り組みの発信時などを通じて、方針や考え方を周知するとともに、社内報やイントラネットを通じて多様性に関する情報を発信するなど、さまざまな社内教育を実施しています。
取り組みの一例としてパークオペレーション部門の従業員が受講する「ノーマライゼーション・クリエイター・クラス」では、テーマパークにおけるダイバーシティの取り組み実例から、対話を通じてゲストとキャストの多様性を理解し、受容するマインドとスキルを学ぶプログラムを実施しています。
また、2023年1月より、従業員同士や、ゲストへ接する際に基本となる多様性に関する考え方や事例をまとめた「ダイバーシティ&インクルージョンハンドブック」を従業員に配布し、対話をすることで多様性への理解を深めるとともに、多様性に関して、相談を受けた上司が、多様性に配慮して相談者に寄り添えるよう、重要なポイントをまとめた資料を配布するなどの啓発をしています。
ESGマテリアリティ「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」について、次の指標・目標を設定しています。
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取り組みの 方向性 |
KPI |
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2030 |
2027 |
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【人権の尊重】 人権デューデリジェンスと人権啓発の継続によるリスクの低減と被害者の確実な救済 【顧客の多様性の尊重】 事業環境にあわせて注力領域を検討し、取り組みを推進 【従業員の多様性の尊重】 内外環境にあわせて注力領域を検討し、取り組みを推進 |
【人権の尊重】 特定した重要人権課題に対する人権デューデリジェンスの高度化とグループ会社の人権デューデリジェンスの拡大 【顧客の多様性の尊重】 多様性を尊重した活動ができる仕組みの構築 【従業員の多様性の尊重】 多様性が尊重され、あらゆる人が活躍できる環境の構築 |
【人権の尊重】 ・ギャップ分析を踏まえた重要人権課題の見直しと、新たな重要人権課題ごとの脆弱なライツホルダーに対する是正と救済、予防的措置の実施 ・「従業員」「顧客」「取引先」の3領域における人権デューデリジェンスの継続、およびグループ会社の人権デューデリジェンスの開始
【顧客の多様性の尊重】 ・ダイバーシティ&インクルージョン ハンドブック改訂版の発行、および学習機会を提供した従業員の割合:100% ・多様性を受け入れ、行動ができる従業員の割合:2025年度中に策定
【従業員の多様性の尊重】 ・女性管理職比率:25%以上(OLC) |
株式会社オリエンタルランドでは、従業員が快適に働くための環境支援を進めています。
一例として、2023年4月1日より、従業員の身だしなみを規定した「ディズニールック」の一部を変更しました。
今回の変更では、男女別の表記を撤廃してジェンダーレスな内容に変更するとともに、一部内容の緩和を行いました。
また、一部のコスチュームにおいては、ユニセックス運用を段階的に導入しており、テーマ性などは維持したうえで、段階的に個々人の希望に応じて選択できるように進めています。加えて、男性・女性それぞれの更衣室のほかに個室の着替えスペースも設置しています。
さらに、ビジネスネーム制度の対象を拡大し、戸籍上の氏名にかわって、業務上の氏名として利用できるようにするなど、すべての従業員が自分らしく活躍できる職場環境の構築を進めています。
株式会社オリエンタルランドでは、従業員が仕事と生活の調和を図るための取り組みとして、育児休職、子の看護休暇、介護休職、介護休暇、病気有給休暇(家族の介護事由でも取得可能、年次有給休暇から最大60日の積み立て)などの各種制度を整えています。
社員に対しては、業務内容に応じてフレックスタイム制や在宅勤務制度、半日・時間単位の有給休暇を導入しています。
パークのオペレーションを担うテーマパークオペレーション社員については、社員の制度の中で適用可能なものを準用しています。準社員については、生活にあわせた働き方ができるように短時間のシフトを用意しています。また、より積極的に勤務に就きたい準社員には、個人のスマートフォンから勤務可能なシフトを見つけて就業申請ができるシステムを整備するなど、より柔軟な働き方ができる体制を整えています。
なお、当社では、従業員の労働時間を適切に管理するための管理職への継続的な労働時間管理に関する啓発活動や働き方に関する意識醸成、人事本部と各組織による定期的な要員枠の見直しや業務効率化に資するツールの導入、所定外労働時間に関する状況確認などにより、過重労働の抑止や所定外労働時間の削減に取り組んでいます。当社の2024年度の社員およびテーマパークオペレーション社員における月平均所定外労働時間は、15時間12分でした。
社員(単体)
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嘱託社員、出演者、準社員等(単体)
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| *復職率= | 期間中の育児休職取得者数-退職者数 |
| 期間中の育児休職取得者数 |
社員(単体)
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嘱託社員、出演者、準社員等(単体)
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また、当社では、社員、嘱託社員の福利厚生として、定年を迎えた後も安心して生活が送れるよう60歳以降の資産形成手段として、賞与型確定拠出年金に加入できる「ライフプラン支援金制度」(希望制)を設けています。
仕事と生活の調和を実現するためには、制度の整備だけでは足らず、その利用を促進する組織風土づくりが必要です。当社では、育児・介護支援などの制度をさまざまな方法で社内に周知しています。これからも、一人ひとりの仕事と生活の調和を全員で実現していく風土づくりに取り組みます。
当社では、従業員が仕事と子育ての両立を図れるよう、さまざまな制度を整えるとともに、従業員の相談に対応する相談窓口を設置し一人ひとりの状況にあわせた支援をしています。
妊娠・出産時においては産前産後休暇や配偶者の出産時に取得できる配偶者出産休暇(有給、最大2日間)を導入しています。
育児休職からの復職後は、育児時間、育児のための勤務時間短縮、所定外勤務の免除、深夜勤務の免除、休日勤務の免除、子の看護休暇(最大7日)などの制度を利用することができます。また、授乳期の従業員のために、落ち着いた環境で搾乳ができる施設「マミールーム」を設置しています。
復職支援施策としてはシフト勤務社員に対して勤務時間を固定・短縮するミドル復帰プログラムを導入しています。そのほか、共働きの社員等を対象にしたベビーシッター等の育児補助金支援施策を導入しています。
さらに、企業主導型保育所「キッズビレッジあるぶる」を開園し、常時保育だけでなく一時保育の対応をするなど、時間的な制約がある中でも成長し、中長期的なキャリアをより描きやすくなるよう、社員やテーマパークオペレーション社員の復職を支援しています。
また、曜日や時間帯を問わず勤務が発生する出演者に対しても、育児と両立しながら働き続けられる環境を支援するため、一時保育の利用を拡大しました。
加えて、不妊治療に伴う通院等を事由としてお休みする場合、休暇を取得できるようになりました。
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取り組み |
概要 |
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両立支援情報サイト |
仕事と家庭の両立支援ガイドブックのほか、各種制度申請のための帳票などを集約している。 |
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育児休職情報提供 |
育児休職に入る従業員を対象に情報を提供。休職前の事前準備や休職中の過ごし方、復職時の各種サポート制度の詳細を共有するとともに、休職中の会社情報の提供を行う。 |
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復職支援セミナー (定期開催) |
育児休職中の社員を対象に、毎年1回(2~3月頃)開催。安心して復職していただくために、復職後の会社支援内容について理解を深めるとともに復職後のキャリア形成について考える機会を提供する。 |
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管理職層を対象とした研修 (不定期開催) |
組織の多様なメンバーをマネジメントするうえで大切なことを考える機会を提供する。 ・従業員の働きがい向上に向けたセミナー ・育児や、介護などの両立者にフォーカスしたセミナー |
当社では、株式会社舞浜コーポレーションを中心に、障がい者雇用に取り組んでいます。
障がい者雇用率は、2.62%(2025年6月1日現在)と、法定雇用率2.5%を上回っています。引き続き雇用率向上に向けて、採用および定着支援を継続します。
株式会社舞浜コーポレーションと協働し、OLCグループ内に存在するさまざまな職種の中での職域開拓を行うとともに、従業員一人ひとりの特性に応じた幅広い仕事を提供しています。これまではバックステージ業務を担うことが多かった障がいのあるキャストが、ゲスト接客対応の場面が多いテーマパークのオンステージ業務のトライアルを行うなど、新たな職域拡大・開発の取り組みを進めています。今後も引き続き、多様な人材が、働きがいを感じながら、生き生きと働くことができる体制づくりを行っていきます。
なお、株式会社舞浜コーポレーションでは、ノーマライゼーション(*)を重視し、施設や就労支援体制を整備することで、充実した仕事ができる職場環境を整えています。
*障がいのある人を特別視せず、一般社会で普通の生活が送れるように支援するという考え方
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*関係会社特例に認定される(株)オリエンタルランド・(株)舞浜コーポレーション・(株)ミリアルリゾートホテルズ・(株)MBM・(株)Mテック
2025年6月現在のOLCグループ会社全体の障がい者雇用率は、2.59%です。
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領域 |
主な業務内容 |
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メールサービス |
テーマパーク内で投函される郵便物への記念スタンプ押印、OLCグループ全体の社内外の郵便物の集配・仕分け、発送処理 |
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ナプキン折り |
テーマパークのレストランで使用される布ナプキン折り |
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商品販売サポート |
テーマパークで販売されている商品の袋出しやTシャツのハンガー掛け、ピッキング業務、キャスト向け商品店舗の運営 |
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ランドリー |
テーマパークのコスチューム(小物)などのクリーニング、アイロンがけ |
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遺失物センター |
テーマパークの拾得物の取り扱いに関する業務 |
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3Dメガネ洗浄 |
テーマパークで使用される3Dメガネの洗浄および点検業務 |
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セントラルキッチンサポート |
セントラルキッチンでの容器などの洗浄業務 |
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花卉栽培 |
テーマパークの花卉栽培 |
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メンテナンス物流サポート |
テーマパークメンテナンスに関わる整備部品の小分け、数量カウント、出庫、棚卸業務のほか、図面の差し替え業務 |
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マッサージ |
マッサージサービス(従業員向け) |
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オフィスデータサポート |
名刺作成、データ入力、データ取り込み業務 |
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オンステージ業務 |
アトラクションやショー施設の清掃、ベビーカー関連業務、モバイルバッテリー関連業務 |

- 拡大
- 花苗の手入れなど、繊細な仕事を担当
当社ではすべての従業員が安心して働ける環境づくりを進めており、男女が分け隔てなく働く社風のもと、多くの女性従業員が活躍しています。
現在では、社員の男女の勤続年数の差は4.1年、社員の女性比率は56.5%、準社員など社員以外の女性比率は77.1%となっています(2025年3月末現在)。
今後も、これまで以上に女性が力を発揮しやすい職場づくりに配慮しながら、男女分け隔てなく能力を開発し、キャリアが継続できるよう支援します。
また、2027年度に管理職に占める女性従業員の割合を25%以上にすることを目標に掲げ、女性管理職のロールモデルを紹介することで従業員がキャリアをイメージできるような機会を創出することや、育児や介護などでキャリアが中断しないように両立を支援する制度を整備しています。
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2020年度 (2021年3月末現在) |
2021年度 (2022年3月末現在) |
2022年度 (2023年3月末現在) |
2023年度 (2024年3月末現在) |
2024年度 (2025年3月末現在) |
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管理職に占める女性労働者の割合 |
199名のうち35名(17.6%) |
194名のうち34名(17.5%) |
199名のうち36名(18.1%) |
209名のうち37名(17.7%) |
214名のうち36名(16.8%) |
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管理部門以外の管理職に占める女性労働者の割合 |
144名のうち23名(16.0%) |
137名のうち24名(17.5%) |
140名のうち27名(19.3%) |
146名のうち27名(18.5%) |
135名のうち23名(17.0%) |
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取締役に占める女性の割合 |
10名のうち2名(20.0%) |
10名のうち2名(20.0%) |
11名のうち3名(27.3%) |
11名のうち3名(27.3%) |
12名のうち3名(25.0%) |
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執行役員に占める女性の割合 |
21名のうち3名(14.2%) |
20名のうち3名(15.0%) |
19名のうち3名(15.8%) |
17名のうち2名(11.8%) |
19名のうち2名(10.5%) |
当社では、性的指向・性自認にかかわらず、すべての従業員が活躍できる職場環境づくりに取り組んでいます。
制度面では、2024年4月1日より、従来の法律婚に加え、同性婚や事実婚についても、福利厚生制度や施策の対象としました。これにより、結婚や、育児・介護に関する休暇・休職制度、勤務時間に関する制度などのほか、慶弔金の対象を拡大し、同性婚・事実婚パートナーを配偶者とする従業員にも適用できるようになりました。また、性別移行に関わる手術や治療に伴い、必要に応じて休暇を使用できるようになりました。
施設・労働環境面では、性別にかかわらず利用できる「だれでもトイレ」や個別の着替えスペースを設置しています。また、ビジネスネームを利用することで、同性婚や事実婚に伴う苗字の変更や、自認する性に応じた通称名を使用することができます。加えて、「ディズニールック」のジェンダーレスな内容への変更や一部コスチューム選択のユニセックス対応についても、性別に関わらずすべてのキャストが活躍できる環境整備に向けた取り組みのひとつです。
啓発活動としては、性的マイノリティ当事者に対する理解を深めることを目的とした労務管理者向けのガイドライン策定や、管理職層を対象とした、性の多様性についての研修を、動画配信形式で実施しました。また、性的マイノリティ当事者が各種制度の利用方法等を確認できる環境を整えることを目的としたハンドブックを発行し、社内における理解促進を進めています。
さらに、既にある各種相談窓口にて、性的マイノリティ当事者の悩みだけでなく、当事者との関わり方についても匿名で相談を受け付けています。