戦略

人的資本に関する戦略

当社グループにおける、人的資本の考え方、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。

当社グループにとって人材とは、事業の価値を創出していくうえで何よりも重要で不可欠なものです。特に東京ディズニーリゾート事業においては、ゲストを魅了するハードへの継続的な投資と同様に、事業に誇りを感じエンゲージメントの高い従業員によるゲストサービスが強みの源泉であるといえます。
当社グループでは、「2030年に目指す姿」を実現するために、ESGマテリアリティのひとつに「従業員の幸福」を設定し、すべての従業員が働きがいを感じられること、そして、これからも働きたい場所として選ばれ続けることを目指しています。
具体的には、「従業員の幸福」を「一人ひとりが働きがい(エンゲージメント)が高い状態にあること」と定義し、働きがいを高めるために「仕事のやりがい」(働くことによって得られる喜びや達成感)の向上と、「働きやすさ」(社内環境や制度)の整備を行っています。
さらに、働きがいを高めるために、以下の図で取り組みの方向性を体系化するとともに、会社と従業員の関係性を「求めあい高めあう関係性」として明確化しました。従業員は「みずから一歩踏みだす」こと、会社・マネジメントはその「一歩」を引き出し支援する「背中を押す」姿勢が重要であると考え、双方向で刺激しあう関係性を目指しています。 
関係構築および働きがい向上に向けては「みずから創造する人材の育成」「多様な人材の活躍」「生き生きと働ける環境整備」を重要要素と整理し、各組織のマネジメント力、従業員一人ひとりの意識向上、仲間とのより良い関係性の構築など、複数の視点から、全社一丸となって取り組んでいます。

リスクと機会

【リスク】
・人材不足
・人材の流出

 

【機会】
・優秀な人材の継続的な雇用
・変化やビジネスチャンスへの対応力強化

 

これからも働きたい場所として選ばれ続けるために、仕事のやりがい(働くことによって得られる喜びや達成感)の向上と、働きやすさ(社内環境や制度)の整備を通じて、ゲストのハピネスの創造と当社グループの価値向上の好循環を創出していきます。

リスク管理

リスク管理体制図

指標と目標

従業員の幸福の指標・目標

ESGマテリアリティ「従業員の幸福」について、次の指標・目標を設定しています。

KPI

KGI

2024中期経営計画

2026年度

2030年

従業員の「働きがい」の向上に向けた取り組みの拡充

【従業員の「働きがい」の向上】

エンゲージメント調査

総合スコア 

2024年度より向上

(OLCグループ全体)

【従業員の「働きがい」の向上】

「エンゲージメント調査」

総合スコア 71

(OLCグループ全体)

従業員の幸福の目標に対する実績

2023年度の総合スコアは68となりました。
事業共感や同僚との関係性が良好な一方で、職場の施設環境の改善や上司とのコミュニケーション、成長支援の強化が必要など、OLCグループの強みや課題を認識しています。
今後は2024中期経営計画などにおける人材に関わる取り組みを推進し、働きやすさと、成長実感の双方を高める支援を継続して強化することで、さらなる働きがいの向上に取り組んでいきます。

2024中期経営計画における人材に関わる取り組み

少子高齢化の進行などによる労働人口の減少や、働き方への多様な価値観などを踏まえたうえで、従業員の働きがいを最大化し、持続可能な人員体制へ変化にすることをゴールとして掲げています。
その達成のためには、現状維持にとどまらず新たな発想でゲストサービスの向上、オペレーションの改善、業務改革を推進できる人材・組織づくりを推進すること、また限られた人員数で高い付加価値を提供し続けることのできる体制へ変化することが重要であると考えています。
そのために、組織マネジメントの改善を進めるとともに、新たなパーク環境にあわせたキャストのあり方を見直します。また働きやすい環境として、心と体の健康への取り組みや、快適な施設・デジタル環境を整えていきます。

取り組み概要

概要 2023年度の進捗状況
組織マネジメント
強化
・「働きがい」の実態の見える化
・求められる人材が育つための評価を軸とした制度検討
・キャリア自立および自己成長・自己管理を促す仕組みと 風土づくり
・多様な人材が活躍できる環境支援
【創造する人材の育成】
・エンゲージメント調査をもとに、管理職を中心に、一般職メンバーとも連携しながら、エンゲージメント向上の取り組みを継続実施
・社長と従業員が働きがい向上等について直接対話・質問する機会(KATARIBA)を設け、経営層と一般職をつなぐ機会の導入
・管理職と一般職が対話を深めながら、自組織のエンゲージメント向上について対話するワークショップの実施
・自己啓発のための学習支援や社内兼業施策の実施による自立的な成長機会の支援
・仲間同士の絆や好奇心を醸成する施策の実施(サンクスデー、新規エリア開業へ向けたイベント)
・テーマパークオペレーション社員へのキャリア研修の実施によるキャリアマインドの醸成
・キャストとしての誇りややりがいを高める施策の実施(新規施設/ショーの事前体験)

【多様な人材の活躍】
・雇用区分に応じた両立支援施策を拡充させ、全従業員が活躍できる環境の整備
・同姓婚・事実婚の配偶者をパートナーとした福利厚生制度の拡充
・オンステージを含めた障がい者の活躍の場を拡充
・ダイバーシティ&インクルージョンの理解のため、全従業員に対して「ダイバーシティ&インクルージョン ハンドブック」を配布し、ディスカッションを実施
キャストのあり方の見直し ・区分特性に応じた役割発揮推進
・働きがい支援
・採用推進/定着促進
【創造する人材の育成】
・準社員に対して、パフォーマンスを発揮しやすく、また生き生きと働ける環境をつくるために人事制度を改定
準社員が担う役割を明確にし、グレードを再編するとともに、評価、賃金の見直しや、キャリア支援や事業に関わる喜びや誇りを感じられる施策を実施(2024年度実施)
・テーマパークオペレーション社員に対して、自立的な成長やチャレンジ意欲を一層高めるための「求める行動」を明確化
求める行動をベースに育成サイクルの整備。役割に応じた育成プログラムに加え、自己を理解し、自分のキャリアを考え実現するためのキャリア支援プログラムや自己啓発研修を整備し、自立的な成長への支援を実施
心と体の健康 長く健康に生活し、働くことができるために主体的に心と体の健康を維持する環境を構築 【生き生きと働ける環境整備】
・従業員の健康を会社が後押しする施策という位置づけの「心と体の健康プロジェクト」を推進。社長の健康宣言を皮切りに、健康に関する社内啓発や知識インプットを定期的に実施
・ストレスチェックの結果を踏まえ、心の健康については従業員自身のセルフケアや、各組織におけるラインケアの強化し、体の健康についてはは生活習慣病の予防を目的としたBMIの適正化や喫煙率の低下に向けた継続的な取り組みを実施
快適な施設・ デジタル環境 快適に働ける環境の整備 【生き生きと働ける環境整備】
・ブレイクエリアやレストルーム等、従業員が快適に働くためのバックステージ機能の改修工事を計画的に実施
・IT化に伴う業務ワークフローシステムの見直しなども行うことで、より効率的な働くための環境整備も推進

活動

従業員区分と役割

当社では、約2.5万人の従業員が、それぞれの専門性を活かして活躍しています。従業員数の約2割が、「社員」「嘱託社員」「出演者」です。そして、約8割を占めるのが、テーマパークの最前線でゲストをお迎えする「キャスト」として働く、「テーマパークオペレーション社員」および「準社員」です。

従業員区分と役割

従業員区分 役割
社員 総合職 テーマパーク事業部門、テーマパークサポート部門、一般管理部門など、幅広い事業領域を担うゼネラリスト
テーマパークマネジメント職 テーマパーク部門に所属し、テーマパーク運営や組織課題解決、人材育成を担うプロフェッショナル
専門職 技術職や調理職など特定の分野のスペシャリスト
テーマパークオペレーション社員 テーマパーク内のさまざまな職種を経験しながら、最前線でゲストサービスやオペレーションを担うとともに、組織課題解決に向けたサポートを行う
嘱託社員 部門ごとの専門業務を担う
出演者 オーディションにより選出された、テーマパークのショーやパレードに出演するエンターテイナー
準社員 アトラクションでの案内、清掃、飲⾷施設での接客、調理業務、商品販売や在庫管理など、最前線でゲストサービスやオペレーションを担う

労使関係

当社は、国際規範に則り、団体交渉権をはじめとする労働基本権を尊重しています。当社では、労働組合「 OFS(オリエンタルランド・フレンドシップ・ソサエティー)」と相互理解、相互信頼を築きながら、労使双方で協議を行い、連携して施策を進め、より良い職場環境づくりに向けて取り組んでいます。
2024年3月現在の組合員数は24,664人で加入率は99.9%です。2017年度より嘱託社員・準社員・出演者、2019年度よりテーマパークオペレーション社員も加入しています。
当社ではOFSと締結する「労働協約」において、全雇用区分を対象とするユニオン・ショップ制を採用しています。
あわせて当社ではOFSと締結する「労働協約」において、OFS役員等の人事異動を行うときは、OFS組織内の役割に応じて、事前に双方による協議を行うこと、またはOLCからOFSへ通知すること、OFSメンバーの人事異動を行うときは、事後すみやかにOLCからOFSへ通知することを規定しています。
また、2018年度には、グループ会社にも労働組合が組成されるとともに、当社グループの労働組合で結成される労働組合の連合会である「OGFS(フェデレーション・オブ・オリエンタルランドグループ・フレンドシップ・ソサエティー)」が組成されました。

労働に関するコンプライアンスと機会均等

当社では、採用にあたっては、国際労働機関(ILO)の条約・勧告に定められた最低年齢を下回らないよう年齢確認を徹底し、児童労働の発生を防止しています。また、機会は均等です。給与支払いに関しては法令を遵守し、各地域に定められた最低賃金を上回る給与を設定しています。
採用、配置、評価、報酬は、公平公正であり、本人の能力、経験、成果によって行われます。
従業員の労働時間を適切に管理するための管理職への継続的な労働時間管理に関する啓発活動や働き方に関する意識醸成、人事本部と各組織による定期的な要員枠の見直しや業務効率化に資するツールの導入、所定外労働時間に関する状況確認などにより、過重労働の防止や所定外労働時間の削減に取り組んでいます。

なお、2023年度、労働に関するコンプライアンス違反はありませんでした。