方針・規定

人材に関する基本的な考え方

OLCグループにとって人材とは、事業の価値を創出していくうえで何よりも重要で不可欠なものです。特に東京ディズニーリゾート事業においては、ゲストを魅了するハードへの継続的な投資と同様に、事業に誇りを感じエンゲージメントの高い従業員によるゲストサービスが強みの源泉であるといえます。
また約40年にわたり、東京ディズニーリゾートにおいて約2万人の従業員を雇用しているということは、社会に対して果たす大きな責任を担っていると考えます。
2030年に目指す姿を実現するために、ESGマテリアリティのひとつに「従業員の幸福」を定めています。
「仕事のやりがい」(働くことによって得られる喜びや達成感)の向上と、「働きやすさ」(社内環境や制度)の整備を目指す取り組みを行うことで、OLCグループで働くすべての従業員が働きがいを感じられること、そして、これからも働きたい場所として選ばれ続けることを目指します。2030年に向けた人・組織のありたい姿として、従業員は「一歩踏みだす」、会社・管理職はその「背中を押す」ことを掲げています。従業員と会社が互いに「求めあい、高めあう」関係性をつくることで、働きがいをより一層高めていきます。また、そのために必要な要素は「自ら創造する人材の育成」と「多様な人材の活躍」、そして「生き生きと働ける環境整備」の3つと整理しています。
それらを通じて、ゲストのハピネスの創造と当社グループの価値向上の好循環を創出していきます。

2030年までのESGマテリアリティと指標・目標(2030KGI)

ESGマテリアリティ「従業員の幸福」について、次の指標・目標を設定しています。

指標 目標(2030KGI)
従業員の働きがいの向上 従業員の「働きがい」の向上 
「エンゲージメント調査」総合スコア 71
(OLCグループ全体)

2024中期経営計画における人材に関わる取り組み

少子高齢化の進行などによる労働人口の減少や、働き方への多様な価値観などを踏まえたうえで、従業員の働きがいを最大化し、持続可能な人員体制へ変化にすることをゴールとして掲げています。
その達成のためには、現状維持にとどまらず新たな発想でゲストサービスの向上、オペレーションの改善、業務改革を推進できる人材・組織づくりを推進すること、また限られた人員数で高い付加価値を提供し続けることのできる体制へ変化することが重要であると考えています。
そのために、組織マネジメントの改善を進めるとともに、新たなパーク環境にあわせたキャストのあり方を見直します。また働きやすい環境として、心と体の健康への取り組みや、快適な施設・デジタル環境を整えていきます。

取り組み概要

概要 2022年度の進捗状況
組織マネジメント
強化
・「働きがい」の実態の見える化
・求められる人材が育つための評価を軸とした制度検討
・キャリア自立および自己成長・自己管理を促す仕組みと 風土づくり
・多様な人材が活躍できる環境支援
【創造】
・エンゲージメント調査をもとに、管理職を中心に、一般職メンバーとも連携しながら、エンゲージメント向上の取り組みに着手
・各組織の管理職間で、組織ごとに目指す働きがいの高い状態を対話のうえ、その実現に向けたアクションプラン策定
・社内各組織からリーダー社員を選出し知識スキルなどをインプットのうえで、管理職と連携し、職場でのエンゲージメント向上に取り組む仕組みを構築
【多様】
・ダイバーシティ&インクルージョンの理解のため、全従業員に対して「ダイバーシティ&インクルージョン ハンドブック」を配布し、ディスカッションを実施
・さまざまな従業員が快適に働くことができる環境支援のひとつとして、身だしなみ規定の改定とパークで働くキャストが着用するコスチュームの運用を変更
・性別にかかわらず利用できる個室の着替えスペースも増設
キャストのあり方の見直し ・区分特性に応じた役割発揮推進
・働きがい支援
・採用推進/定着促進
【創造】
・パークにおけるゲストサービスにより醸成される当社事業への高い共感やキャストとしての働きがいを育むため、組織での対話風土の醸成。パフォーマンス発揮に向けた支援体制を整えるなど、キャストの成長につなげ、働きたい場所として選ばれ続けるための環境整備の実施
・テーマパークオペレーション社員へ、ステージごとに求める役割をより具体化。役割に応じて必要な知識やスキルを体系的に習得する教育プログラムを導入。また、自己を理解し、自身のキャリアを考え実現するためのキャリア支援プログラムや、各個人が自身に必要な知識を身に着けるための自己啓発研修を整備し、自立的な成長への支援を実施
心と体の健康 長く健康に生活し、働くことができるために主体的に心と体の健康を維持する環境を構築 【生き生き】
・従業員の健康を会社が後押しする施策という位置づけの「心と体の健康プロジェクト」を開始。社長の健康宣言を皮切りに、健康に関する社内啓発や知識インプットを定期的に実施
・ストレスチェックや健康診断の結果を踏まえ、心の健康については従業員自身のセルフケアや、各組織におけるラインケアの強化し、体の健康についてはは生活習慣病の予防を目的としたBMIの適正化や喫煙率の低下に向けた継続的な取り組みを実施
・2023年1月、健康保険組合、共済会、労働組合「OGFS(フェデレーション・オブ・オリエンタルランドグループ・フレンドシップ・ソサエティー)」、グループ会社と合同で、従業員向けの「健康フェスタ」を開催
快適な施設・ デジタル環境 快適に働ける環境の整備 【生き生き】
・従業員に対する施設環境への調査などをもとに、特にパークオペレーションに関わる従業員が利用する施設の改修を計画的に実施
・主に、アトラクション施設周辺で働く従業員向けのオフィス改修工事の中で、オフィスレイアウトの変更や会議スペースの増設など、キャストと社員が日々の面談・コミュニケーションを行うためのスペース増設を推進
・IT化に伴う業務ワークフローシステムの見直しなども行うことで、より効率的な働くための環境整備も推進

活動・パフォーマンス

従業員区分と役割

当社では、約2万人の従業員が、それぞれの専門性を活かして活躍しています。従業員数の2割が、「社員」「嘱託社員」「出演者」です。そして、8割を占めるのが、テーマパークの最前線でゲストをお迎えする「キャスト」として働く、「テーマパークオペレーション社員」および「準社員」です。

従業員区分と役割

従業員区分 役割
社員 総合職 テーマパーク事業部門、テーマパークサポート部門、一般管理部門など、幅広い事業領域を担うゼネラリスト
テーマパークマネジメント職 テーマパーク部門に所属し、テーマパーク運営や組織課題解決、人材育成を担うプロフェッショナル
専門職 技術職や調理職など特定の分野のスペシャリスト
テーマパークオペレーション社員 テーマパーク内のさまざまな職種を経験しながら、最前線でゲストサービスやオペレーションを担うとともに、組織課題解決に向けたサポートを行う
嘱託社員 部門ごとの専門業務を担う
出演者 オーディションにより選出された、テーマパークのショーやパレードに出演するエンターテイナー
準社員 アトラクションでの案内、清掃、飲⾷施設での接客、調理業務、商品販売や在庫管理など、最前線でゲストサービスやオペレーションを担う

労使関係

当社は、国際規範に則り、団体交渉権をはじめとする労働基本権を尊重しています。当社では、労働組合「 OFS(オリエンタルランド・フレンドシップ・ソサエティー)」と相互理解、相互信頼を築きながら、労使双方で協議を行い、連携して施策を進め、より良い職場環境づくりに向けて取り組んでいます。
2023年3月現在の組合員数は20,832人で加入率は99.9%です。2017年度より嘱託社員・準社員・出演者、2019年度よりテーマパークオペレーション社員も加入しています。
当社ではOFSと締結する「労働協約」において、全雇用区分を対象とするユニオン・ショップ制を採用しています。
あわせて当社ではOFSと締結する「労働協約」において、OFS役員等の人事異動を行うときは、OFS組織内の役割に応じて、事前に双方による協議を行うこと、またはOLCからOFSへ通知すること、OFSメンバーの人事異動を行うときは、事後すみやかにOLCからOFSへ通知することを規定しています。
また、2018年度には、グループ会社にも労働組合が組成されるとともに、当社グループの労働組合で結成される労働組合の連合会である「OGFS(フェデレーション・オブ・オリエンタルランドグループ・フレンドシップ・ソサエティー)」が組成されました。

労働に関するコンプライアンスと機会均等

当社では、採用にあたっては、国際労働機関(ILO)の条約・勧告に定められた最低年齢を下回らないよう年齢確認を徹底し、児童労働の発生を防止しています。また、機会は均等です。給与支払いに関しては法令を遵守し、各地域に定められた最低賃金を上回る給与を設定しています。
採用、配置、評価、報酬は、公平公正であり、本人の能力、経験、成果によって行われます。
従業員の労働時間を適切に管理するための管理職への継続的な労働時間管理に関する啓発活動や働き方に関する意識醸成、人事本部と各組織による定期的な要員枠の見直しや業務効率化に資するツールの導入、所定外労働時間に関する状況確認などにより、過重労働の防止や所定外労働時間の削減に取り組んでいます。
なお、2022年度、労働に関するコンプライアンス違反はありませんでした。