2025年10月
代表取締役会長(兼)CEO 髙野由美子
挑戦の先にひろがる笑顔を原動力に、
ゆるぎない価値を磨き
世界に誇れる企業であり続けます。
2024年度は、ファンタジースプリングスのグランドオープンやクルーズ事業への参入発表など、オリエンタルランドグループにとって次なる成長に向けた挑戦が力強く動き始めた一年でした。
一方、中期経営計画の最終年度でもあり、OLCグループがどんな企業でありたいかを見つめ直す契機でもありました。内外環境の変化は、私たちに多くの学びをもたらしました。しかしながら、OLCグループには創業以来、従来の発想にとらわれず、独自の進化を遂げてきたDNAがあります。
その精神を受け継ぐ私たちが、強い決意を持って策定したのが、次の10年を見据えたOLCグループ2035長期経営戦略です。グループ全体が一丸となり、変革の10年を力強く推し進め、持続的な成長と新たな価値創造に取り組んでまいります。
2035長期経営戦略策定にあたり、私たちは2024中期経営計画で掲げた2030年に目指す姿「あなたと社会に、もっとハピネスを。」を再定義し、2035年に目指す姿として改めて掲げました。
この言葉には、2つの想いが込められています。
ひとつは、「人々の幸福への貢献」です。設立当初の理念に原点回帰し、事業を通して人々の幸福に貢献していくことを改めて表明しました。
そして、もうひとつは、「持続可能な社会への貢献」です。私たち人間は、地球や自然のなかで生かされている存在です。私は、東京ディズニーリゾートで過ごす1日が、日常とは異なる特別な時間であると同時に、サステナビリティへの意識が育つ場でもあってほしいと願っています。
OLCグループが提供する「ハピネス」は、決して一過性の娯楽ではありません。人々へお届けする「楽しさ」と、地球や自然への「愛」を内包し、人々の活力となって生きる力を支えるものです。心に残る体験が、人生を支える力となり、やがて社会に広がって未来を動かす力となる―そんなハピネスの提供こそが、OLCグループが未来に贈る約束です。
2035長期経営戦略では、ESGマテリアリティについて、OLCグループならではのテーマである「従業員の幸福」と「子どものハピネス」に加え、資源を効率的に循環させる「循環型社会」への取り組みを重点テーマとして掲げています。
この取り組みの中心にあるのは、やはり「人」です。従業員一人ひとりが心身ともに健やかで、誇りを持って働けること。それこそがOLCグループの事業の根幹であり、ハピネス創造の原動力です。
また、未来を担う子どもたちにも、同じように夢や希望を持って生きてほしいと願っています。私は、東京ディズニーリゾートそのものが、子どもたちの心を育む「滋養の場」でありたいと思います。ここでの体験が、未来を創造的に切り拓く力へとつながるように私たちも創意工夫を重ねてまいります。
そして、従業員が生き生きと働き、ゲストや子ども達が集う東京ディズニーリゾートの未来の姿として描いているのが「循環型リゾート」です。
表舞台ではディズニーの世界観が広がり、裏舞台では最先端の技術とOLCグループの緻密な管理が支える、美しい調和の世界。廃棄物が限りなくゼロとなり、自然と創作物、そして人々が共生する場です。この実現は一朝一夕にはかないませんが、世代を超えて想いをつなぎ、いつか必ず実現したいと考えています。その第一歩として、「循環型社会」の構想に取り組みます。
これらのESGマテリアリティは、短期的な成果を求めるものではなく、事業全体の価値を長期的に高める取り組みです。目に見える成果がすぐに出なくても、振り返った時に「あの時のあの体験が今につながっているのだな」とふと感じてもらえるような、そんな小さな「気づきの種」をまき続ける会社でありたいと思っています。
「ライバルはどこか」と尋ねられることがありますが、私たちが手掛けるすべての事業において大切にしているものは、他社との比較によって得られる相対的価値ではありません。常に見据えているのは、ゲストの期待を超える、感動とサプライズに満ちた体験を提供すること。「まだ誰も見たことのない感動体験を生み出す」というパイオニア精神は、時代を超えて受け継がれ、今も変わらず根幹に流れるDNAです。それこそが、新たな挑戦のたびに立ち返るべきOLCグループの原点であり、誇りです。
ステークホルダーの皆さまには、ぜひ長期的な視点でOLCグループの成長を見守っていただきたいと思います。
2025年6月
代表取締役社長(兼)COO 高橋 渉
「人の力」を最大限に生かしながら
⼈々の幸福と持続可能な社会作りへの貢献を両立し、
従業員が心から誇れる企業であり続けます。
当社グループは、2035年に目指す姿「あなたと社会に、もっとハピネスを。」の実現に向けて、10年先の未来を見据えた2035長期経営戦略を推進しています。
戦略の方向性は大きく2つあります。ひとつは「事業を通じた成長」です。テーマパーク事業・ホテル事業で集客基盤をより強固なものとし、その集客基盤を活⽤したクルーズ事業を加えて、事業全体を成⻑させる好循環を⽣み出し、OLCグループの成長をさらに加速させていきます。
もうひとつは「企業価値向上に資する活動」の推進です。ESGマテリアリティへの取り組みを強化し、事業価値向上と社会課題の解決、持続可能なビジネスの土台作りを行ってまいります。加えて、CVC活動を通じて新規事業を創出し、持続的な成長と社会価値の創出を実現していきます。
リゾート事業の発展とOLCグループ全体の企業価値向上に向け両輪で取り組み、私たちの存在意義を明確に打ち出していきます。その先にあるのは、⼈々の幸福への貢献と持続可能な社会作りへの貢献です。そして、これらを両⽴させることで、従業員が⼼から誇れるOLCグループ像の実現を目指します。
ESGマテリアリティについては、これまでダブル・マテリアリティの原則に基づいた8つのESGマテリアリティに取り組んできました。2035長期経営戦略では、これを7つに再編し、「従業員の幸福」「子どものハピネス」「循環型社会」の3つを事業価値向上と社会課題の解決を両立する注力テーマとして、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」「サプライチェーン・マネジメント」「気候変動・自然災害」「経営基盤の強化」を持続可能なビジネスの土台を作るテーマとして位置づけました。
「従業員の幸福」では、エンゲージメント調査をもとに職務、自己成長、人間関係、環境の4項目に注力し、人事方針と連動しながら、働きがいを高める機会を積極的に設けるようにしていきます。「子どものハピネス」は、子どもを取り巻く社会課題にアプローチして、パーク体験やキャストとの接点を増やし、子どもの幸せな気持ちや自己肯定感の醸成につながる取組みを継続して実施していきます。「循環型社会」では、分別強化によるリサイクル率向上と廃棄物削減を進めながら、ゲストも巻き込んだサステナブルな仕組みを拡充していきます。加えて、2035年に⽬指す持続可能な社会作りに貢献していく活動として、事業活動における環境負荷をできるだけゼロに近づけていく循環型リゾートの取り組みを推進していきます。
当社グループがこれまで成長してきた背景には、ディズニー社との契約や好立地の土地所有などの要因があります。しかし、最も本質的な強みは「人」にあると考えます。
当社グループには、「ゲストに楽しんでいただきたい」という強い想いを持った従業員が集まっています。一人ひとりが「どうすればもっと喜んでもらえるか」を常に考え、その力を結集し、魅力あふれる空間と、そこに根付く高いホスピタリティを創り上げてきました。こうして生まれる唯一無二の価値が、多くのゲストの支持を得てそれが次の成長投資の原資となっていく。この健全な循環こそが、当社グループの成長の源泉であり、長期持続的な成長に繋がるのです。
私の社長としての使命は、この「人の力」を最大限に引き出し、生かすことです。これを絶えず循環させていくことで、企業としてのサステナビリティが高まり、常に進化する企業として、新しい価値を生み出し続けていけると信じています。
すべての原点は「人」であり、未来を創っていくのもまた「人」です。私自身、これからも、当社グループが持つ「人の力」を最大限に生かし、社会にかけがえのない価値を提供し続けていきたいと考えています。