CEOメッセージ

2026年10月
代表取締役会長(兼)CEO 髙野 由美子

" すべてはゲストのために"
-この想いが、私たちの夢を広げ、冒険心を走らせます。

社会と結び合う、ハピネスの約束

 2035長期経営戦略策定にあたり、私たちは2024中期経営計画で掲げた2030年に目指す姿「あなたと社会に、もっとハピネスを。」を再定義し、2035年に目指す姿として改めて掲げました。
 この言葉には、2つの想いが込められています。
 ひとつは、「人々の幸福への貢献」です。設立当初の理念に原点回帰し、事業を通して人々の幸福に貢献していくことを改めて表明しました。
 そして、もうひとつは、「持続可能な社会への貢献」です。私たち人間は、地球や自然のなかで生かされている存在です。私は、東京ディズニーリゾートで過ごす1日が、日常とは異なる特別な時間であると同時に、サステナビリティへの意識が育つ場でもあってほしいと願っています。
 オリエンタルランドグループが提供する「ハピネス」は、決して一過性の娯楽ではありません。人々へお届けする「楽しさ」と、地球や自然への「愛」を内包し、人々の活力となって生きる力を支えるものです。心に残る体験が、人生を支える力となり、やがて社会に広がって未来を動かす力となる―そんなハピネスの提供こそが、OLCグループが未来に贈る約束です。

変える勇気、守り抜く覚悟

 東京ディズニーシーは、2026年に開園25周年という大きな節目を迎えました。今日まで多くのゲストの皆さま、そして、ステークホルダーの皆さまに支えていただいたことに、心より感謝申し上げます。
 これからの25年はこれまでとは異なる時代になるでしょう。変化の激しい時代において、25年後の未来を正確に見通すことはできません。だからこそ私は、時代が変わっても受け継ぐべき価値を守りながら、次の世代が新たな挑戦を続けられる土台を築くことが自らの使命だと考えています。
 私たちを取り巻く外部環境は、かつてないスピードと規模で変化しており、建設コストや物価の高騰、金利や為替の変動、地政学的リスク、気候変動など、さまざまな課題が同時進行しています。しかし、こうした逆風の時代にこそ、企業の強さや真価が問われるのだと思います。いかなる変化が起きようとも対応できるよう、予測値を上げながら決断し、価値創造を続けていくこと。これこそが、サステナビリティ経営の本質だと考えます。
 外部環境は変えられないものの、社内の構造は変えることができます。最悪の事態も想定しながら会社を内側から強靱にしていく。そのためには、「足し算」だけでなく「引き算」の経営も欠かせません。本当に必要なものを見極め、勇気を持って「やらなくてよい仕事はやめる」という決断も必要です。
 もっとも、「引き算の経営」とは未来への投資を惜しむことではありません。本当に守るべきもの、将来の成長につながるものへ経営資源を集中するための前向きな取り組みです。目先の環境に左右され、短期的な成果を追い求めるのではなく、未来を見据えた挑戦や必要な投資をこつこつ続けていく。その積み重ねが、OLCグループの価値を磨き、受け継いできたDNAを進化させていくものと信じています。

すべての想いがイマジネーションの源泉

 2035年に向けた変革と成長を実現するためには、従業員一人ひとりが自ら考え、行動し、それぞれの専門性を生かしながら、組織の枠を越えて力を合わせることが重要です。2025年11月には、従来の事業別の組織から機能別の組織へと組織改編を行いました。その目的は部門間の壁を取り払い、誰かの指示を待つのではなく、気づいた人が自ら一歩を踏み出し、周囲を巻き込みながら課題解決できる環境を整えるためのものです。
 パークの現場では、「ゲストのために何ができるか」を起点に、より一層自由な発想でアイデアを出し合い、行動する文化が根付いています。例えば、東京ディズニーランドのキャッスルプロジェクション「Reach for the Stars」開催時には、終了後、数万人のゲストが一度にエントランス方面へ向かわれます。その際には、ゲストの誘導やパークの清掃を担当するキャストだけではなく、フード部門のキャストが店舗前のゲストをご案内し、商品部門のキャストがゴミ箱の入れ替えを行うなど、自部門の役割を超えて、パーク全体としてどうあるべきかという視点で行動しています。こうした連携が、ゲストを安全に気持ちよくお送りできる環境につながっています。「すべてはゲストのために」という共通の想いのもと、自発的に力を合わせる。その姿に、私たちが目指してきた変化を実感しています。
 そして、私たちが目指しているのは、その瞬間の楽しさにとどまらず、未来につながる価値を届けることです。心を動かす体験はかけがえのない記憶となり、視野を広げ、まだ見ぬ未来を思い描く力にもなります。とりわけ次の時代を担う子どもたちにとって、東京ディズニーリゾートでの出会いや発見が好奇心を刺激し、夢や希望を描くきっかけになってほしい。目の前のゲストにハピネスを届けることはもちろん、その体験が心の中に残り、未来へつながっていくという視点も大切にしたいと考えています。また、私たちが事業を通じて社会に貢献し続けるためには、地球環境の持続可能性にも目を向けていかなければなりません。リゾート内では、スペシャルイベント「東京ディズニーシー・フード&ワイン・フェスティバル」の中で抽出後のコーヒー豆を活用した「食べられるスプーン」を提供しているほか、日本航空株式会社と連携した廃食油のSAF(持続可能な航空燃料)への再利用など、志を同じくするパートナーとの取り組みも進めています。
 こうして紡ぎ出された価値が、ゲストへ、子どもたちへ、地域社会へ、そして地球環境へと広がり、世代を超えて受け継がれていく。こうした歩みが、OLCグループの持続的な成長であり、長期的な企業価値の向上につながると確信しています。

事業に命を吹き込む「人」の力

 私は、OLCグループが社会から信頼され、選ばれ続ける企業でありたいと願っています。それは事業の魅力だけで評価される企業ではありません。ここで働く従業員一人ひとりの姿勢や企業文化、そして社会への向き合い方も含めて信頼される企業です。性別や年齢に関わらず、誰もが夢や希望をもって活き活きと働き、「自分の子どもや友人にもここで働いてほしい」と思っていただける企業であり続けたい。このような想いを次の世代へ引き継ぐことが、私たちの責任だと考えています。
 OLCグループとは何者でしょうか?私たちは「本物」を追求し続ける会社です。前例のないことに恐れず挑戦してきた会社です。その原動力は、先人たちから受け継いだ情熱であり、進化し続ける創造力であり、私たちならではのホスピタリティでもあります。そして、常に根底にあるのは、「すべてはゲストのために」という、創業以来変わらぬ一つの熱い想いに他なりません。長い時間をかけ、多くの人の知恵と情熱を注いで生み出したものが、ゲストの笑顔や歓声に包まれる。乗り越えてきた苦労を上回る高揚感に駆り立てられ、私たちは再び想像力を膨らませながら、新たな冒険を重ねていくのです。
 想いを受け継ぎ、形にしていくのは、「人」の力です。OLCグループには、部門や職種を超えて、この事業を愛し、ゲストの喜びを自分の喜びととらえる仲間がいます。だからこそ困難に直面した時も、それぞれが自分事として向き合い、強みを持ちより、知恵を出し合いながら、道を切り開いてくることができました。これは私たちが未来に受け継いでいくべき、大切な企業文化のひとつです。
 10年後の未来から振り返った時、2026年度が、OLCグループが次の成長に向けて大きく舵を切った転換点だったと評価されるように、そしてその挑戦を支えたのが「人」の力であったと誇れるように、私たちはこれからも、変えてはならない価値を守りながら、時代の変化を恐れず、挑戦を続けていきます。
 株主・投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまには、OLCグループが挑む「変革と成長」を、長期的な視点で見守り、伴走していただければ幸いです。これからのOLCグループの挑戦に、どうぞご期待ください。

COOメッセージ

2025年6月
代表取締役社長(兼)COO 高橋 渉

「人の力」を最大限に生かしながら
⼈々の幸福と持続可能な社会作りへの貢献を両立し、
従業員が心から誇れる企業であり続けます。

⼈々の幸福への貢献と持続可能な社会作りに向けて

 オリエンタルランドグループは、2035年に目指す姿「あなたと社会に、もっとハピネスを。」の実現に向けて、10年先の未来を見据えた2035長期経営戦略を推進しています。
 戦略の方向性は大きく2つあります。ひとつは「事業を通じた成長」です。テーマパーク事業・ホテル事業で集客基盤をより強固なものとし、その集客基盤を活⽤したクルーズ事業を加えて、事業全体を成⻑させる好循環を⽣み出し、OLCグループの成長をさらに加速させていきます。
 もうひとつは「企業価値向上に資する活動」の推進です。ESGマテリアリティへの取り組みを強化し、事業価値向上と社会課題の解決、持続可能なビジネスの土台作りを行ってまいります。加えて、CVC活動を通じて新規事業を創出し、持続的な成長と社会価値の創出を実現していきます。
 リゾート事業の発展とOLCグループ全体の企業価値向上に向け両輪で取り組み、私たちの存在意義を明確に打ち出していきます。その先にあるのは、⼈々の幸福への貢献と持続可能な社会作りへの貢献です。そして、これらを両⽴させることで、従業員が⼼から誇れるOLCグループ像の実現を目指します。

ESGマテリアリティを戦略的に推進する

 ESGマテリアリティについては、これまでダブル・マテリアリティの原則に基づいた8つのESGマテリアリティに取り組んできました。2035長期経営戦略では、これを7つに再編し、「従業員の幸福」「子どものハピネス」「循環型社会」の3つを事業価値向上と社会課題の解決を両立する注力テーマとして、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」「サプライチェーン・マネジメント」「気候変動・自然災害」「経営基盤の強化」を持続可能なビジネスの土台を作るテーマとして位置づけました。
 「従業員の幸福」では、エンゲージメント調査をもとに職務、自己成長、人間関係、環境の4項目に注力し、人事方針と連動しながら、働きがいを高める機会を積極的に設けるようにしていきます。「子どものハピネス」は、子どもを取り巻く社会課題にアプローチして、パーク体験やキャストとの接点を増やし、子どもの幸せな気持ちや自己肯定感の醸成につながる取組みを継続して実施していきます。「循環型社会」では、分別強化によるリサイクル率向上と廃棄物削減を進めながら、ゲストも巻き込んだサステナブルな仕組みを拡充していきます。加えて、2035年に⽬指す持続可能な社会作りに貢献していく活動として、事業活動における環境負荷をできるだけゼロに近づけていく循環型リゾートの取り組みを推進していきます。

最大の原動力は「人」

 どれほど優れた戦略や投資計画があっても、それを実現するのは「人」です。私は、OLCグループの最大の原動力は「人の力」にあると確信しており、人的資本への投資は、最も重要な成長投資のひとつだと考えています。
 私たちが提供している価値は、一日限りの体験では終わりません。家族や友人と過ごした時間は思い出として残り、その人の人生の一部となります。子どもの頃に訪れたゲストが、人生のさまざまな場面で再び足を運び、大切な思い出を次の世代と分かち合いながら、新たな記憶を紡いでいく。そして、思い出は世代を越えて受け継がれていきます。世代を超えて思い出を育み続けることは、東京ディズニーリゾートならではの社会的価値であり、私たちの大きな競争力にもつながっています。
 東京ディズニーリゾートならではの体験価値を支えているのは、アトラクションの開発・運営、メンテナンス、商品企画、IT・デジタル、経営管理など、多様な専門性を持つ人材です。それぞれの専門性が有機的に結びつき、従業員のホスピタリティを支えることで、ゲスト一人ひとりに寄り添うサービスが生まれ、東京ディズニーリゾートならではの感動体験へとつながっています。
 その根底にあるのは、ゲストの喜びを自らの喜びとする想いです。従業員の多くは、かつてゲストとして東京ディズニーリゾートを訪れ、「自分も多くのゲストを笑顔にしたい」という憧れを抱いて入社します。そして、ゲストからの「ありがとう」や笑顔に触れるたびに、自らも働きがいを深め、その想いをさらに育んでいきます。こうした志が脈々と受け継がれてきたことが、OLCグループのサービス品質を支える原動力です。
 とはいえ、仕事は一人では成り立ちません。だからこそ、それぞれが専門性を発揮しながら、部門や立場を越えて対話を重ね、時には率直に意見を交わし合い、最善の答えを導き出すことが重要です。
 こうした一人ひとりの想いや姿勢が、互いを尊重し、称え合う、OLCグループならではの企業文化を育んできました。私は、この文化をさらに発展させ、誰もが失敗を恐れず挑戦し、その挑戦を互いに支え合いながら、ともに成長できる組織風土を醸成していきたいと考えています。
 2035長期経営戦略の実現に向けては、既存事業の進化とクルーズ事業の立ち上げを同時に進めていかなければなりません。そのためには、IT・デジタル、AI、メンテナンス技術など、高度な専門性を持つ人材の採用・育成を強化するとともに、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境を整え、組織全体の創造性と実行力をさらに高めていきます。「人」への投資こそが、2035長期経営戦略の実現と、その先の持続的な企業価値向上を支える最大の基盤であると確信しています

挑戦のDNAを次世代へ

 2026年12月、オリエンタルランドは株式上場30周年という大きな節目を迎えます。これまで私たちの歩みを支えてくださった多くのゲストの皆さま、地域の皆さま、従業員、株主・投資家の皆さまなど、さまざまなステークホルダーの皆さまに心より感謝申し上げます。
上場は、資金調達だけが目的ではありません。資本市場との対話を通じて経営の透明性を高めるとともに、ガバナンスの強化や経営基盤の整備、優秀な人材の確保など、企業としての成長を大きく後押ししました。30年にわたり資本市場と向き合い続けてきた経験は、今日のOLCグループの企業価値を支える重要な基盤となっています。
 振り返れば、OLCグループの歴史は、前例のない挑戦の連続でした。東京ディズニーランドの開業、東京ディズニーシーの開業、そして現在取り組んでいるクルーズ事業。その一つひとつが、「まだ誰も実現したことのない価値」に挑戦してきた歩みです。
 これからも挑戦のDNAを次世代へ受け継ぎながら、「あなたと社会に、もっとハピネスを。」の実現に向けて歩み続けます。株主・投資家の皆さまをはじめ、すべてのステークホルダーの皆さまには、OLCグループが描く2035年の未来と、その先に広がる成長をぜひ見届けていただきたいと思います。そして、皆さまのご期待に着実な成果で応え、持続的な企業価値の向上につなげていくことに全力で取り組んでまいります。