1960年、国民の文化・厚生・福祉に寄与することを目的に、株式会社オリエンタルランドは設立されました。その後、米国ディズニーランドを日本に誘致する活動を始め、1979年ウォルト・ディズニー・プロダクションズ(当時)とライセンス契約を締結し、1983年には東京ディズニーランドが開園しました。
当社が社会に提供し続けてきたのは、ほかのどの場所でも体験できない「ハピネス(幸福感)」です。
当社グループは、「自由でみずみずしい発想を原動力にすばらしい夢と感動、人としての喜び、そしてやすらぎを提供します」という企業使命のもと、気候変動や少子高齢化の進行など、企業を取り巻く社会状況が大きく変化する中で、50年、100年と永続的に社会に価値提供を続け、企業として成長を続けていくために、地球環境問題や社会課題への対応を経営や事業戦略に包括したサステナビリティ経営を目指すこととしました。
当社グループが目指すサステナビリティ経営とは、「持続可能な社会への貢献」と「長期持続的な成長」を両立することであり、具体的には、既存事業において、よりゲストニーズに寄り添う選択肢を備えた運営への進化、需要変動の対応力向上による東京ディズニーリゾート全体の付加価値向上を図ることに加え、コア事業の課題解決・価値向上につながり、かつ成長機会にできる新規事業に挑戦すること、また、SDGsの達成への貢献など社会課題の解決に寄与することです。
持続可能な社会への貢献と長期持続的な成長に向け、当社グループの提供価値である「ハピネス」を持続的に創造していくために、2030年に目指す姿を定め、その実現に向けた中長期の取り組み方針を策定しました。
当社グループは、サステナビリティ経営の実現に向け、2022年3月の取締役会において、「2030年に目指す姿」、機会を取り込み、リスクを低減する「8つのESGマテリアリティ」を含む「中長期の取り組み方針」について決議しました。
ESGマテリアリティを中心としたサステナビリティに関わる事項は、環境対策委員会、企業行動委員会などの委員会や業務遂行組織で検討され、代表取締役社長執行役員を議長とした「サステナビリティ推進会議」において、取り組み内容における優先順位や資源配分等についての議論を深めた後、経営会議や取締役会に付議する体制としています。
「取締役会」は「経営会議」で協議・決議された内容の報告を年1回以上受け、サステナビリティに関する重要課題について議論・監督を行っています。当社の社長は「サステナビリティ推進会議」の議長を担い、サステナビリティに係る経営判断の責任を負っています。
また、ESGマテリアリティごとに、目標、そして進捗状況を評価するための指標として、2030KGI、2026KPI、2024中期経営計画のKPIを設定しており、年1回以上、取締役会および経営会議に進捗を報告しています。
取締役会における2023年度のESGマテリアリティを中心としたサステナビリティに関わる主な付議事項
- 2022年度の企業行動委員会の活動について
- 2022年度の環境対策委員会の活動について
- ESGマテリアリティの活動進捗について
- ESGマテリアリティ「従業員の幸福」に関する2030KGI更新について

- 2030年に目指す姿「あなたと社会に、もっとハピネスを。」
当社グループのステークホルダーのみならず、社会にもハピネスを創造し続けられる企業を目指します。
- テーマパークを含むリゾートのみならず、社会を含めた多くの人々のためにハピネスを創造し続ける
- 持続可能な社会の実現に向けて役割を果たすことで、社会から望まれる企業であり続ける
- 従業員が心から誇れる企業であり続ける
- 中長期の取り組み方針
2030年に目指す姿を実現するために、事業の持続的な発展と8つのESGマテリアリティへの取り組みを推進します。また、ESGマテリアリティへの取り組みを通じて、SDGs(持続可能な開発目標)にも貢献します。
- 事業の持続的な発展
① 既存事業
多様化するゲストニーズや需要の変動に対応し、東京ディズニーリゾート全体の付加価値向上を実現します。
② 新規事業
既存事業の課題解決や価値向上につながり、新たな収益機会となりうる事業に取り組みます。
- ESGマテリアリティ
当社グループでは、サステナビリティ経営を推進するにあたり、2030年までに優先して取り組む8つのESGマテリアリティを特定しています。ESGマテリアリティごとに、関連するリスクと機会を洗い出し、戦略と指標および目標を策定し、上記サステナビリティのガバナンスにおいて、ESGマテリアリティごとの進捗状況をモニタリングしています。
「持続可能な社会への貢献」と「長期持続的な成長」を両立するサステナビリティ経営の実現のため、成長につながる機会を取り込み、リスクを低減するための8つのマテリアリティを選定し、2022年3月の取締役会で決議しました。ESGマテリアリティは、ダブル・マテリアリティの原則に則り、「社会、ステークホルダーの視点」と「企業へのインパクトの視点」でマッピングし選定しており、ESGマテリアリティごとに、目標、そして進捗状況を評価するための指標として、2030KGI、2026KPI、2024中期経営計画のKPIを設定し、年1回以上、取締役会および経営会議に進捗を報告しています。
なお、「従業員の幸福」と「子どものハピネス」は当社グループならではの取り組みとして推進します。
ESGマテリアリティ一覧
マテリアリティ |
取り組みの方向性 |
リスクと機会 |
貢献 するSDGs |
|
Social |
従業員の幸福 |
これからも働きたい場所として選ばれ続けるために、「仕事のやりがい」(働くことによって得られる喜びや達成感)の向上と、「働きやすさ」(社内環境や制度)の整備を目指す取り組みを行っていきます。 |
【リスク】 ・人材不足 ・人材の流出 【機会】 ・優秀な人材の継続的な雇用 ・変化やビジネスチャンスへの対応力強化 |
![]() |
子どものハピネス |
未来を担う子どもたちの夢や心を育むことによって豊かな社会を実現するために、東京ディズニーリゾート事業を通じた子どもたちの信頼や共感を育む取り組みや、子どもに関する社会課題の解決への取り組みを行います。 |
【リスク】 ・子どもを取り巻く社会課題の深刻化 【機会】 ・事業活動において重要な子どもに関わる社会課題の解決 |
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ダイバーシティ& インクルージョン |
変容する社会や顧客ニーズの変化に対応し、顧客の多様な価値観を尊重した事業活動を展開するために、人権尊重への体系的な取り組みや、既存製品・サービスの見直しと多様性に配慮するための仕組みの構築などの取り組みを行います。 |
【リスク】 ・ダイバーシティへの対応不足による体験価値の低下 ・人権尊重への対応不足によるリスクの顕在化 【機会】 ・変容する社会や顧客ニーズへの対応による体験価値向上 |
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サプライチェーン・ マネジメント |
取引先と協働し、持続可能な調達を実現するために、方針整備を進めます。 |
【リスク】 ・サプライチェーンへの対応不足によるリスクの顕在化 【機会】 ・サプライチェーン全体での環境や社会への配慮による競争力拡大 |
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Environment |
気候変動・自然災害 |
再生可能エネルギーの創出や調達、省エネルギー活動、環境配慮設計の導入などにより、気候変動リスクの低減に努めるとともに、気候変動に適応し強靭性を高めることで、事業の持続可能性を高める取り組みを行います。 |
【リスク】 ・異常気象や自然災害の増加による事業への影響の拡大 【機会】 ・気候変動に適応することによる新たな体験価値の創出 |
![]() |
循環型社会 |
循環型社会の構築に貢献するために、製品・サービスの省資源化と廃棄物削減、持続可能な資源利用などの取り組みを行います。 |
【リスク】 ・資源枯渇や資源価格の高騰 【機会】 ・環境価値も備えた新製品やサービスの提供による新たな需要の創出 |
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Governance |
ステークホルダー・エンゲージメント |
事業活動を進化させ、持続可能な社会に資するために、ステークホルダーに対して適切で開かれた情報開示と対話を大切にする取り組みを行います。 |
【リスク】 ・新たなニーズの変化や潜在リスクへの対応力の低下 【機会】 ・社会情勢変化への対応力強化 |
- |
企業経営の公正性 |
各種法令およびコーポレートガバナンス・コードを遵守し、変化に柔軟に対応し、成長できる体制を構築します。 |
【リスク】 適切な意思決定機能の欠如による、成長機会や社会的信用の低下 |
マテリアリティは、次のプロセスで議論し策定しました。

※GRIスタンダード、ISO26000、SASBなど

2022年3月に策定したESGマテリアリティ、および2030KGI、2026KPI、2024中期経営計画のKPIの推進状況について、社外ステークホルダーの視点からフィードバックを得て、来期以降の計画に反映していくことを目的に、外部有識者とのセッションを行いました。
サステナビリティ推進に関わるメンバーが参加し、推進における課題などに対して、外部有識者より示唆を得ました。
主なご意見
- 現状のESGマテリアリティは妥当性が高く、サステナビリティ経営のための土台が構築された。
- 事業環境や、社会環境も策定時とは状況が変わってきているため、マテリアリティは長期に目指す姿を実現するために進化を遂げるタイミングとなってきている。
ディスカッションの様子

外部有識者:グローバルネットワークNELIS
共同代表 ピーター・D・ピーダーセン氏
ファシリテーター:有限会社エコネットワーク
代表取締役 野澤 健氏

外部有識者:LRQAサステナビリティ株式会社
代表取締役 冨田 秀実 氏
ファシリテーター:有限会社エコネットワークス
代表取締役 野澤 健氏
当社グループのリスクは、「OLCグループリスク管理規程」に基づき個別リスクの予防・対応策を策定するリスクマネジメントサイクルを設定し、運用しています。当社の社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」にて、事業活動に係るリスクを抽出・評価し、「戦略リスク」と「運営リスク」を特定しています。
サステナビリティ関連リスクを含む「戦略リスク」は、所管組織が予防策・対応策を策定・実行し、その対応状況を「戦略リスク」を統括する経営戦略部が確認しています。その確認を踏まえ、年に1回、「経営会議」ならびに「取締役会」に報告を行い、「取締役会」の監督体制の下、当社グループの戦略に反映します。
サステナビリティ関連リスクとして、人権・多様性に関するリスク、気候変動に関するリスク、循環型社会に関するリスクを特定しており、各所管組織は、当該リスクについて、「戦略リスク」対応の一環として実行計画に落とし込んでいます。
従業員一人ひとりがサステナビリティ/ESGについての理解を深め、業務を通じて実践できるよう、さまざまな理解促進活動を展開し、サステナビリティ経営に関する啓発活動を行っています。
【全社的な啓発活動】
- 2030年に目指す姿やESGマテリアリティについての解説動画を配信
- マテリアリティの取り組み進捗を共有する説明会の継続的な実施
- ESGに関わる内容を定期的に社内報にて発信
【自発的な活動を促すための仕組みの構築】
- 大型パネルで展示を行うエキスポや動画配信など、特に一人ひとりの意識が変わることが大切である環境や多様性について、わかりやすく伝える活動
- 各組織の課題に応じて、サステナビリティに関わるテーマで対話しあい、実行につなげるための機会
- 各組織や、委員会において、8つのマテリアリティに顕著な貢献、功績を残した案件の表彰を行い、その中で優れた案件を選出し、「Sustainability Award」として会社表彰も行うなど、自発的な活動が生まれやすい仕組みを構築
■S(社会)
KPI |
KGI |
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2024中期経営計画 |
2026年度 |
2030年 |
従業員の「働きがい」の向上に向けた取り組みの拡充 |
【従業員の「働きがい」の向上】 「エンゲージメント調査」総合スコア 2024年度より向上 (OLCグループ全体) |
【従業員の「働きがい」の向上】 ・「エンゲージメント調査」総合スコア:71(OLCグループ全体) |
目標達成に向けた取り組み状況 |
【創造する人材の育成】
【多様な人材の活躍】
【生き生きと働ける環境整備】
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KPI |
KGI |
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2024中期経営計画 |
2026年度 |
2030年 |
心豊かな子どもを育てる活動や未来をひらく子どもたちを支える活動の拡大 |
【東京ディズニーリゾート】 日々の生活を潤し、心豊かな子どもを育てる活動の実施 【社会貢献活動】 未来をひらく子どもたちを育む・支える活動の実施 |
目標達成に向けた取り組み状況 |
【東京ディズニーリゾート】 パーク体験が子どもたちに与えるポジティブな影響を調査 未来をひらく子どもたちを支援する取り組みを実施 ・テーマパークの施設利用人数や対象商品の購入に応じて寄付するプログラム「Smiles for Tomorrow」の実施 【OLCグループの社会貢献活動】 未来をひらく子どもたちを支援する取り組みを拡充
*2024年8月「一般財団法人 オリエンタルランド子どものハピネス財団」を設立 |
KPI |
KGI |
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2024中期経営計画 |
2026年度 |
2030年 |
・11の重要人権課題と「従業員」「サプライチェーン」 「顧客」の3つの領域でギャップ分析を実施し、脆弱なライツホルダーに対する取り組みが不足している点の洗い出しを行う ・持続的に人権施策を推進していくための社内体制を構築する ・「ダイバーシティ&インクルージョン ハンドブック」を配布した従業員の割合100% ・既存施設・サービスのギャップ分析と対応計画の策定および実行 |
・重要な人権課題への人権デューデリジェンス実施のカバー範囲とカバー率 ・多様性に関するガイドラインを配布した従業員の割合 ・多様性に関するガイドラインの研修を受けた従業員の割合 |
・特定した重要人権課題に対する人権デューデリジェンスプロセスの構築と運用 ・多様性を尊重した事業活動ができる仕組みの構築 |
目標達成に向けた取り組み状況 |
【人権】
【多様性】
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KPI |
KGI |
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2024中期経営計画 |
2026年度 |
2030年 |
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全体 |
重要な取引先へのエンゲージメント100% |
「調達方針」の整備と「お取引先行動指針」への反映 |
・一次サプライヤーへ「調達方針」「お取引先行動指針」の周知と承認100% ・社内で特定した品目について持続可能な原材料調達100% |
紙 |
紙の調達に関する方針をお取引先への周知、主要なお取引先への調査の継続実施 |
2024年度を目途に設定 |
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パーム油 |
テーマパーク飲食施設で使用しているポップコーンオイルを持続可能性に配慮したパーム油に切り替え |
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紛争鉱物 |
取引先への確認を含む紛争鉱物の対応方法を策定 |
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木材 |
環境配慮設計の中で木材に関する仕様の策定 |
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テキスタイル |
環境負荷の少ないテキスタイルの調達に向けた方針を策定 |
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シーフード |
一部持続可能性に配慮したシーフードに切り替え |
目標達成に向けた取り組み状況 |
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■E(環境)
KPI |
KGI |
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2024中期経営計画 |
2026年度 |
2030年 |
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再生可能エネルギー調達 |
CO₂削減量 78,000t-CO₂ |
CO₂削減量 198,000t-CO₂ |
温室効果ガス排出量 【スコープ1・2】2013年度比:51%削減 (2050年度までにネットゼロ) |
省エネルギー活動 |
社内システム(見える化)更新 |
社内システムを活用し全社で実施 |
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環境配慮設計の導入 |
自社ガイドライン策定 |
自社ガイドラインに基づき実行 |
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再生可能エネルギーの創出 |
太陽発電設備等の検討、導入 |
太陽発電設備等の検討、導入 |
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車両・機械・設備の投資・更新 |
環境配慮型の検討、導入 |
環境配慮型の検討、導入 |
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スコープ3 |
次期中期経営計画に向けた目標設定 |
2024中期経営計画期間中に設定 |
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強靭性強化 |
TCFDのフレームに則した情報開示の開始 |
TCFDのフレームに則した対応の検討 |
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水資源の有効活用 |
次期中期経営計画に向けた目標設定 |
取水量総量2024年度比1%削減および水使用量の削減に向けた長期目標の設定 *2027年度末KPI |
2027年度までに設定 |
目標達成に向けた取り組み状況 |
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KPI |
KGI |
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2024中期経営計画 |
2026年度 |
2030年 |
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食品ロス (2019年度比) |
総量(重量)22.5%削減 |
総量(重量)45%削減 |
・廃棄物総量削減(重量)2016年度比10%削減 ・リサイクル率(実績)80% |
使い捨てプラスチック (2018年度比) |
総量(重量)10.5%削減 |
総量(重量)21%削減 |
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製品・サービス・資源の省資源化 (2018年度比) |
総量(重量)4.4%削減 |
総量(重量)8.8%削減 |
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自然共生社会への貢献 |
次期中期経営計画に向けた目標設定 |
次期中期経営計画に向けた目標設定 |
目標達成に向けた取り組み状況 |
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■G(ガバナンス)
KPI |
KGI |
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2024中期経営計画 |
2026年度 |
2030年 |
各ステークホルダーの取り組みを推進していくための社内体制作りおよび、着実な実行 |
2024年度を目途に設定 |
ステークホルダーに対する適切で開かれた情報開示と双方向でのコミュニケーションを大切にすることで、事業活動を進化させ、持続可能な社会に資する活動を行う |
目標達成に向けた取り組み状況 |
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KPI |
KGI |
|
2024中期経営計画 |
2026年度 |
2030年 |
・社外取締役の取締役会出席率:80%以上 ・取締役会の実効性評価:適正評価と改善の実施 ・コーポレートガバナンス・コード:オールコンプライ |
・社外取締役の取締役会出席率:80%以上 ・取締役会の実効性評価:適正評価と改善の実施 ・コーポレートガバナンス・コード:オールコンプライ |
各種法令およびコーポレートガバナンス・コードを遵守できており、変化に柔軟に対応し、成長していける体制となっている |
目標達成に向けた取り組み状況 |
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