東京ディズニーリゾートへの進化(1994年~2001年)

東京ディズニーリゾートは、構成する施設それぞれが明確に異なるテーマと楽しさを持つ個性的な施設の集まりでありながら、エリア全体として調和がとれ、ここで生まれる複合的で高品質なアメニティ、ホスピタリティ、そしてエンターテイメントに満ち溢れた空間です。
 

現在の東京ディズニーリゾートは、2つのテーマパークだけではなく、パークと調和のとれた高品質なホテルや複合型商業施設が欠かせない施設となっています。
 

第6話では、単体のテーマパーク 東京ディズニーランドから、舞浜エリアをトータルでとらえた東京ディズニーリゾートへの進化を、パークを取り巻く周辺施設の歴史の側面から紹介します。
舞浜エリアのリゾート構想の歴史をたどると、その原点は1974年に策定された「オリエンタルランド(レジャー施設)基本計画」まで遡ります。それは当社が独自で描いた浦安沖埋立地の将来の姿でした。

具体的に計画が進んでいったのは、1983年の東京ディズニーランドの開業直後からでした。パーク周辺の将来開発について、ディズニー社との協議を重ね、1984年に「東京ディズニー・ワールド構想」として、両社で開発に向けた共同作業がスタートしました。
 

1985年に策定された「遊園地用地土地利用計画書」では、さまざまな施設コンセプトが描かれ、舞浜地区全体を、高品質のエンターテイメント・エリアに発展させ、国内はもとより世界に認知されるレジャー・レクリエーション・スポットとなることを構想していました。その後、1988年には、社内に「舞浜地区モノレール事業化検討プロジェクトチーム」を設置し、この頃からモノレール事業もリゾート構想の一要素として検討していました。

 

その後、両社で舞浜エリア全体の開発プランの策定、調整を続け、そして1994年にディズニー社との間で、「周辺地域開発契約」を締結し、このエリアの開発の方向性が浮かびあがっていきました。この枠組みの中で、当社が構想したマスタープランの舞浜駅前のゾーンについては、「食」や「美」、そして「趣味」を通じて21世紀に向けて新しい余暇の過ごし方を明確なテーマに基づいて提案する「テーマシティ」の創造をコンセプトとした「ショッピングエリア」、当社初の自社経営ホテルとして、黄金期のハリウッドをコンセプトとしたエレガントで上質なサービスを提供する「ホテル」を描きました。今日の「イクスピアリ」であり、「ディズニーアンバサダーホテル」の原型となった方針です。
 

それらを具現化したのは1996年のことで、「舞浜駅前開発事業計画」として、複合型商業施設と、日本国内におけるディズニーブランドの第1号ホテルの建設、そして新交通システムの導入を決定しました。

1995年、経営体制を一新した当社では、今後取り組むべき事業課題として、「第2テーマパークの建設」、「舞浜駅前開発」、「ホテル事業への進出」、「新交通システムの導入」、「株式上場」という、5つのプロジェクトを掲げました。
翌1996年に、当社は新たな企業理念とともに、その理念のもとに当社が2010年に達成すべき企業像「OLC 2010 Vision」を制定しました。これは単なる事業としての成長戦略にとどまらず、「自由でみずみずしい発想を原動力に、すばらしい夢と感動、ひととしての喜び、そしてやすらぎを提供する」という当社の企業活動の根幹とも言うべき「企業使命」や、企業活動全般にわたって「あるべき姿」をビジョンとして示したものです。
 

そして「第2テーマパーク」を核とした各新規施設のプロジェクトを、より確実に具現化するための資金調達手段として、1996年12月11日に東京証券取引所第1部への上場を果たした当社は、プロジェクトの実現に向け加速していきます。

また、来るべき新規施設の導入に向けた推進力の強化を図ることを目的に、経営体制も強化されていきます。
1996年にはホテル運営を担う「株式会社舞浜リゾートホテルズ(2006年に株式会社ミリアルリゾートホテルズに改称)」を、1997年に「株式会社舞浜リゾートライン」を、1999年には「イクスピアリ」の経営・運営を担う「株式会社イクスピアリ」を設立していきます。
また、1998年8月には、舞浜地区で各種新規事業が推進されていくなかで、テーマパークを含めた地域全体の調和を図るため、当社内に「舞浜エリアリゾート推進会議」を設置しました。これにより、舞浜エリア全体の魅力度・価値向上、ゲストサービスの統一性を創出していったのです。
 

1998年に名付けられた「東京ディズニーリゾート」を構成する各施設は、1998年より段階的に工事が進められ、2000年に入り、新規施設の開業ラッシュを迎えます。

2000年7月7日には、「イクスピアリ」と「ディズニーアンバサダーホテル」が、翌2001年7月27日には、「ディズニーリゾートライン」が開業しました。
 

同じ2001年9月にオープンした「東京ディズニーシー」、「東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ」も含め、2年の間に「東京ディズニーリゾート」は目覚ましいスピードで姿を変えていきました。

1983年4月の東京ディズニーランドのグランドオープンから数えて18年5カ月、舞浜は「東京ディズニーリゾート」という滞在型リゾートとして、飛躍的な進化を遂げたのです。
 

しかしながら、当社の歩み、東京ディズニーリゾートの歩みはこれで終わりではありません。その後も、2つのテーマパークを核とした「東京ディズニーリゾート」は、さらに拡充していきます。