戦略

人的資本に関する戦略

当社グループにおける、人的資本の考え方、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針は、以下の通りです。

当社グループにとって人材とは、事業の価値を創出していくうえで何よりも重要で不可欠なものです。特に東京ディズニーリゾート事業においては、ゲストを魅了するハードへの継続的な投資と同様に、事業に誇りを感じエンゲージメントの高い従業員によるゲストサービスが強みの源泉であるといえます。


当社グループでは、「2035年に目指す姿」実現に向けて、価値を創出する人材力を高め、市場競争の中で人材を確保し続けることが課題です。そのため、価値創造につながる人材力の向上と人材確保を進めることで、事業競争力を強化し、新しい価値を生み出し続ける集団へ進化していくことを人事方針として掲げており、3つの重点戦略を進めていきます。


■人材の成長基盤

  • 多様な業務におけるマネジメント経験を通じて、人の力を結集しチームのパフォーマンスを最大化できる人材を育成する
  • 職種ごとの特性・内外環境を踏まえた人事制度を再設計


■組織力

  • エンゲージメント向上に向けた課題の見える化と組織ごとの自律的改善の仕組み化
  • 対話を基盤とした組織文化を構築し、関係強化につなげ、組織と個人の力を最大限に引き出す


■働く安心感

  • 職場施設の環境改善
  • 内外環境を踏まえた継続的な処遇改善
  • 多様な働き方の推進により、働く安心感を確保


人事方針実現に向けて、上記の3つの重点戦略に取り組むことは、ESGマテリアリティのひとつとして設定している「従業員の幸福」にもつながると考えています。 


具体的には、「従業員の幸福」を「一人ひとりが働きがい(エンゲージメント)が高い状態にあること」と定義し、働きがいを高めるために「仕事のやりがい」(働くことによって得られる喜びや達成感)の向上と、「働きやすさ」(社内環境や制度)の整備を行っています。
さらに、働きがいを高めるために、以下の図で取り組みの方向性を体系化するとともに、会社と従業員の関係性を「求めあい高めあう関係性」として明確化しています。従業員は「みずから一歩踏みだす」こと、会社・マネジメントはその「一歩」を引き出し支援する「背中を押す」姿勢が重要であると考え、双方向で刺激しあう関係性を目指しています。 
関係構築および働きがい向上に向けては「みずから創造する人材の育成」「多様な人材の活躍」「生き生きと働ける環境整備」を重要要素と整理し、各組織のマネジメント力、従業員一人ひとりの意識向上、仲間とのより良い関係性の構築など、複数の視点から、全社一丸となって取り組んでいます。

リスクと機会

【リスク】

  • 提供価値の低下
  • 人材の流出

 

【機会】

  • 働く喜びを伴った意欲的な人材による顧客への提供価値のさらなる向上
  • 変化やビジネスチャンスへの対応力強化


従業員が心から誇れる企業であり続けるために、仕事のやりがい(働くことによって得られる達成感)の向上と、働きやすさ(社内環境や制度)の整備により、従業員が働く喜びを感じながら新しい価値を生み出し続ける環境を創出していきます。

リスク管理

リスク管理体制図

指標と目標

従業員の幸福の指標・目標

ESGマテリアリティ「従業員の幸福」について、次の指標・目標を設定しています。

取り組みの方向性

KPI

2030

2027

エンゲージメントを構成する要素に対して、社員・テーマパークオペレーション社員・準社員・出演者・グループ会社の個々の特性を踏まえながら、実効性を持った取り組みを行うことで、働きがいの向上を実現する

「エンゲージメント調査」

総合スコア:71(OLCグループ)

「エンゲージメント調査」

総合スコア  2024年度より向上(OLCグループ)

※総合スコアに影響が大きい以下項目スコアを毎年度向上

・職務:職務における能力発揮と自己効力感

・自己成長:仕事を通じた達成感と成長実感

・人間関係:パークオペレーションにおける最前線のキャストと上司とのコミュニケーション時間の創出

・環境:職場施設の環境、処遇の納得感、働き方などの衛生要因への満足度など、働く安心の確保

従業員の幸福の目標に対する実績

2024中期経営計画においては、取り組みの重点要素として掲げていた、みずから創造する人材の育成、多様な人材の活躍、生き生きと働ける環境整備に向けて、以下の取り組みを実施しました。

2024中期経営計画の振り返り

創造する人材の育成

・エンゲージメント調査の導入、組織ごとの働きがいの見える化と各組織のアクション体制構築に向けた仕組みづくり、施策の実施

・社長と従業員、上司と部下、同僚同士など社内の対話機会の設定によるエンゲージメント向上

・従業員一人ひとりの自立的な活躍を実現するためのキャリア支援施策・自己啓発支援施策の実施

多様な人材の活躍

・雇⽤区分に応じた両⽴⽀援制度の拡充

・同性婚、事実婚の配偶者をパートナーとした福利厚⽣制度の拡⼤  

・オンステージを含めた障がい者の職域の拡大、採用強化

生き生きと働ける環境整備

・テーマパークオペレーション社員・準社員の役割の明確化と役割発揮のための評価・グレードの見直し・再編

・キャスト向けのイベントなど、キャストとしての誇りや働く楽しさを感じる施策の実施

・快適に働ける環境の整備のためのデジタル環境の整備、バックステージ施設の改修

・⼼と体の健康プロジェクトの発足、啓発強化のための周知や社内施策の展開

・基本時給および賞与支給方針の見直し

取り組みの方向性

エンゲージメントを構成する要素に対して、社員・テーマパークオペレーション社員・準社員・出演者・グループ会社の個々の特性を踏まえながら、実効性をもった取り組みを行うことで、働きがいの向上の実現を目指します。

2027年度までの活動計画

概要

実態把握

・エンゲージメント調査の定期実施

・エンゲージメント調査結果を活用した現状分析と課題特定

実態づくり

・「対話」の促進(風土醸成)に向けた、取り組み

・従業員が一歩踏みだせる、エンゲージメント高い組織づくりに向けた、各組織主体の取り組みのサポート

・働く安心感確保に向けた全社施策の検討実施

 └職場施設の環境改善

 └両立支援の拡充

 └多様な働き方強化

 └処遇の納得感改善

 └心と体の健康支援

実感づくり

従業員の実感の向上に向けた発信

(社内報での各取り組みの周知など)

活動

従業員区分と役割

当社では、約2.7万人の従業員が、それぞれの専門性を活かして活躍しています。従業員数の約2割が、「社員」「嘱託社員」「出演者」です。そして、約8割を占めるのが、テーマパークの最前線でゲストをお迎えする「キャスト」として働く、「テーマパークオペレーション社員」および「準社員」です。

従業員区分と役割

従業員区分 役割
社員 総合職 テーマパーク事業部門、テーマパークサポート部門、一般管理部門など、幅広い事業領域を担うゼネラリスト
テーマパークマネジメント職 テーマパーク部門に所属し、テーマパーク運営や組織課題解決、人材育成を担うプロフェッショナル
専門職 技術職や調理職など特定の分野のスペシャリスト
テーマパークオペレーション社員 テーマパーク内のさまざまな職種を経験しながら、最前線でゲストサービスやオペレーションを担うとともに、組織課題解決に向けたサポートを行う
嘱託社員 部門ごとの専門業務を担う
出演者 オーディションにより選出された、テーマパークのショーやパレードに出演するエンターテイナー
準社員 アトラクションでの案内、清掃、飲⾷施設での接客、調理業務、商品販売や在庫管理など、最前線でゲストサービスやオペレーションを担う

労使関係

当社は、国際規範に則り、団体交渉権をはじめとする労働基本権を尊重しています。当社では、労働組合「 OFS(オリエンタルランド・フレンドシップ・ソサエティー)」と相互理解、相互信頼を築きながら、労使双方で協議を行い、連携して施策を進め、より良い職場環境づくりに向けて取り組んでいます。
2025年3月現在の組合員数は24,513人で加入率は99.9%です。2017年度より嘱託社員・準社員・出演者、2019年度よりテーマパークオペレーション社員も加入しています。
当社ではOFSと締結する「労働協約」において、全雇用区分を対象とするユニオン・ショップ制を採用しています。
あわせて当社ではOFSと締結する「労働協約」において、OFS役員等の人事異動を行うときは、OFS組織内の役割に応じて、事前に双方による協議を行うこと、またはOLCからOFSへ通知すること、OFSメンバーの人事異動を行うときは、事後すみやかにOLCからOFSへ通知することを規定しています。
また、2018年度には、グループ会社にも労働組合が組成されるとともに、当社グループの労働組合で結成される労働組合の連合会である「OGFS(フェデレーション・オブ・オリエンタルランドグループ・フレンドシップ・ソサエティー)」が組成されました。

労働に関するコンプライアンスと機会均等

当社では、採用にあたっては、国際労働機関(ILO)の条約・勧告に定められた最低年齢を下回らないよう年齢確認を徹底し、児童労働の発生を防止しています。また、機会は均等です。給与支払いに関しては法令を遵守し、各地域に定められた最低賃金を上回る給与を設定しています。
採用、配置、評価、報酬は、公平公正であり、本人の能力、経験、成果によって行われます。
従業員の労働時間を適切に管理するための管理職への継続的な労働時間管理に関する啓発活動や働き方に関する意識醸成、人事本部と各組織による定期的な要員枠の見直しや業務効率化に資するツールの導入、所定外労働時間に関する状況確認などにより、過重労働の防止や所定外労働時間の削減に取り組んでいます。

なお、2024年度、労働に関するコンプライアンス違反はありませんでした。