CEOメッセージ

代表取締役会長(兼)CEO
加賀見 俊夫

持続的な「夢・感動・喜び・やすらぎ」の提供を目指して

2020年度は、長期間にわたるテーマパークの臨時休園、また営業再開後も入園者数を始め事業運営上多くの制約が重なり、上場以来初の通期業績赤字となりました。今なお経営を取り巻く環境は厳しく、ステークホルダーの皆さまにはご心配をおかけいたしております。そのような中においても、皆さまより励ましや応援のお言葉を多数頂戴しており、皆さまの長きにわたるご理解と温かいご支援に、心より御礼申し上げます。OLCグループは昨年創業60周年を迎え「新たに生まれ変わる」ことを社内外に向けて発信してまいりました通り、この苦境をチャンスに切り替えて新たな成長への再スタートとすべく、前進し続けております。

現在の東京ディズニーリゾートは、ゲストとキャストの安心・安全を第一に考えた新たなオペレーション基準で運営しております。アトラクションやエンターテイメント・ショーにおいては、社内の知恵を結集し、万全の対策を講じて順次再開させており、ゲストの皆さまに今の環境の中で最大限お楽しみいただける体験をお届けできるよう、最善を尽くしております。同時に、徹底したコストコントロールや業務の見直しを図るなど、経営へのインパクトの最小化に向けた取り組みも継続しております。このような状況の中、2020年9月に東京ディズニーランド大規模開発エリアを新規開業いたしましたが、これは我々が社会へ提供する価値を再認識するきっかけともなりました。ゲストが新エリアで新たな体験を楽しまれる光景を目にすることで、社会全体に閉塞感が漂う中でこそ、東京ディズニーリゾート事業を通じて我々が世へ提供する価値が一層求められていることを強く感じました。

さて、当社グループの中長期的な成長を見据え、2021年6月29日の株主総会をもって吉田謙次が新社長(兼)COOに就任し、新経営体制へと移行しました。吉田は執行全般を統括しながらも、足元の業績回復と今後の中長期的な視点での戦略策定・実行という両輪をまわし、会社を新たな成長の軌道へと乗せるべくリーダーシップを発揮してまいります。世に目を向けると、変動・不確実・複雑・曖昧な経営環境は世界規模で拡がり続けておりますが、そのような中においても当社グループが成長と進化を続けていくためには、不変の羅針盤となる新たなビジョンに加え新たなビジネスモデルの構築が欠かせません。ゲストニーズに対応した体験価値の向上、流動性を持たせた収益構造への転換、変動耐性の強化、そしてESG視点も踏まえたサステナブルな経営体質への転換を図るべく機動的に経営判断を行い、持続的な企業価値の向上を実現してまいります。

2023年度の開業に向けて準備を進めている「ファンタジースプリングス」は、東京ディズニーシーはもとより、リゾート全体としてのオンリーワンの価値を飛躍させ、ゲストの皆さまに全く新しい体験をお届けできるものと確信しております。当社グループは、過去どのような難局に直面しても人々に「夢・感動・喜び・やすらぎ」を提供したいという確固たる想いを貫き、そして実行することで今日の姿まで発展してまいりました。当社グループのDNAであるこの力を結集し、全役職員が同じ目標を共有しながら、今般の難局も必ず乗り越え、次なるステージへと飛躍させてまいります。

「国民の文化・厚生・福祉に寄与する」という会社設立の目的は不変であり、当社グループはこれからもその実現に向けて全力で取り組んでまいります。そしてすべてのステークホルダーの皆さまから選ばれ続ける企業として、皆さまとの対話を絶やさず、限界を作らずに、持続的な企業価値向上を図ってまいります。皆さまにおかれましては、長期的な目線で一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

COOメッセージ

代表取締役社長(兼)COO

吉田 謙次

新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さまおよび感染拡大により生活に影響を受けられた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。一日も早い回復と感染症の早期終息をお祈りいたします。
 

2021年6月29日に、前社長である上西からOLCグループの経営のバトンを預かることになりました。非常に厳しい現在の外部環境においても事業運営を継続できるよう、安全対策に万全を期したうえで、ゲストの皆さまにお楽しみいただくことが私に課せられた当面の使命だと認識しています。そして、再成長に向けて、スピード感を持って、さまざまな次の手を仕掛けていく― まさにそれが、上西から告げられた“変化を仕掛けていくためのトップ交代”であると理解しています。

~2020年度を振り返って、そしてその先へ~

当社グループにとっての2020年度は、第1四半期の全期間で両パークとも休園を余儀なくされた非常に厳しい1年となりました。過去に例のない長期にわたる休園でしたが、7月1日、ゲストの皆さまのご理解とご協力のもとパークを再開できたことは喜ばしい限りでした。また2020年9月28日には、およそ3年の工事期間と約750億円の予算を投じて、東京ディズニーランド内に過去最大規模の新規開発エリアをオープンすることができました。ディズニー映画『美女と野獣』をテーマにした新エリアや映画『ベイマックス』の新アトラクションなどを通じて、ゲストの皆さまに新しい体験価値を提供するとともに、パーク再開後の収益にも着実に寄与しています。
 

また、2020年度は「この次を見据えて、どのような手だてが必要なのか」という問いへの答えを徹底的に考え抜いた1年間でもありました。入園者数が制限された特殊な状況が続き、従来とは違うやり方、考え方にトライするなど、守り一辺倒ではなく今後に向けた攻めの一手も打てたのではないかと考えています。
 

そして、これからのテーマパーク事業のひとつの目玉となるのが、2023年度の開業に向けて準備を進めている東京ディズニーシーの8番目のテーマポートとなる「ファンタジースプリングス」です。私もかつてプロジェクト推進本部長として携わってきましたが、ゲストの皆さまに自信を持ってお届けできるエリアになることを確信しています。新エリアが開業した暁には、東京ディズニーシーだけでなく、東京ディズニーリゾート全体、そして当社グループを、輝かしい未来へ導いてくれる“希望の星”となることでしょう。

~持続可能な社会への貢献と長期持続的な成長の両立を目指して~

永続的に社会に価値提供を続け、企業として成長を続けていくためには、地球環境問題や社会課題への対応を経営や事業戦略に包括することが不可欠です。当社グループの事業は持続可能な社会があってこそ成り立つとの認識のもと、SDGsの達成への貢献など社会課題の解決に寄与する「持続可能な社会への貢献」と、企業として利益成長を継続する「長期持続的な成長」の両立に取り組む所存です。
 

そのためには、ESGの視点をいかに経営の中に取り込み、ただ単にESGのためにコストをかけるのではなく、ESG視点でいかに経営に資するような施策を打ち出していけるかが今後のカギになると思っています。
 

当社グループのコア事業である東京ディズニーリゾートは、装置産業であり、また労働集約型産業でもあります。それゆえ、環境に影響を及ぼしますし、雇用を通じて人にも大きな影響を及ぼします。リゾートの運営を通じゲストにハピネスを提供するとともに、事業を通じて社会的な要請事項にも配慮・貢献できる企業を目指していくことが非常に重要だと感じます。
 

東京ディズニーリゾート事業をESG視点で経営することは、直接的・間接的な数値として経営に資することだけでなく、我々ができることを事業を通じて行っていくことで、社会へ提供している価値を高め長期的に当社グループの企業価値を向上させることにつながります。つまり、ESGは短期的ではなく長期的な活動であることを念頭に検討を深めるべき重要な経営テーマであると考えています。
この取り組みにおいて重要なのは従業員一人ひとりの思いとその力であると考えています。すべての源である従業員が誇りを持って活き活きと働くことができなければ、東京ディズニーリゾートを訪れるゲストへのハピネス提供も存在し得ないと言っても過言ではありません。そのためには、雇用の安定化はもちろん、生活の安定向上や働く環境の向上にも取り組む必要があります。足元は非常に厳しい状況であるからこそ、従業員の働きがいを最大化することが、事業の成長につながるということを再認識いたしました。


昨今、さまざまな場面で目にし、耳にする河川の氾濫、大規模な山火事、気温上昇に伴う北極圏の変化等の自然環境の変化。また、飢餓に苦しむ人々がいる一方で大量のフードロスが生じたり、満足な教育を受けられない子どもたちがいたりする状態。このような世界の先に、人類にはどのような未来が待ち受けているのでしょうか。この時代を生きる人間として、企業として、未来に対していかなる責任を果たすべきかが問われていると思います。
 

ESGというのは同じ時代を生きている人々や、これから生まれてくる人々に対して、どんな時代を、どんな未来を届けるべきなのかを考え抜くことが原点ではないでしょうか。当社グループの従業員には、まず自分ができることが何かを考え、できることから始めてほしいと思っています。小さな一人ひとりの行動の積み上げが大事であり、そこには思いもつかないESGの種があるかもしれません。

~良きDNAを活かし、新たな成長を目指す~

先人から経営のバトンを受け取ったと同時に、私は当社グループに脈々と受け継がれてきた良きDNAも受け取っています。そして、それをまた次の世代にしっかり手渡していきたいと考えています。当社グループには、さまざまなDNAが息づいていて、例えばゲストとキャスト、取引先様と担当者、あるいは上司と部下、先輩・後輩、同僚同士など社内外を問わず、あらゆる人間関係の根底に共通して流れる「相互信頼」の文化もそんなDNAのひとつかもしれません。そして、上司であろうが部下であろうが、ベテランであろうが新人であろうが、どんな立場の人でも言うべきことは言い、聞くべきことは聞く。そうした自由に意見を交わせる環境や雰囲気などの「自由闊達」で、「風通しの良い」企業風土もまた、オリエンタルランドという会社に脈々と受け継がれてきたDNAのひとつなのかもしれません。
 

これからもこうした良きDNAを存分に活かしながら、新たな成長へ向けて邁進してまいります。
ステークホルダーの皆さまには今後ともご理解ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。