
『サービス、売上、コストのバランスを最適化する商品販売部』
商品販売部はパーク内で商品を販売している店舗の運営管理を行っている。オリエンタルランドのビジネスにおいて、収益部門として売上を確保するという大きな役割を担っている部門だ。今回、話を伺ったマネージャーの藤村岳人さんとユニットマネージャーの小森由美さんが所属する第2商品販売グループは、東京ディズニーシーにある39施設の運営を担当している。
【藤村】 商品本部には質の高いゲストサービスと売上の最大化、そしてコストの最適化という目標があります。この目標をしっかり共有しながらパーク内のユニット全体の運営をしていくのがマネージャーの役割です。
【小森】 ユニットマネージャーという仕事は、いわゆる店長の役割です。上位方針に則り、店舗の方針、商品や人員などの資源配分のプランを決め、時間帯責任者であるスーパーバイザーに共有し、目標を達成していくことが主な役割です。もちろん目標達成の過程では必要に応じ、予測プランの誤差を修正しその指示を出すのもユニットマネージャーの役割です。難しいところは、ゲストのニーズは様々な状況で変化しますので、それに細かく対応していくことです。
【藤村】 例えば、どの商品をどのような意図をもってどこへ陳列するのかという判断は難しいです。これはユニットマネージャーが、マネージャーの私や売上動向をチェックしている部署などと情報共有し、パークや店舗内のゲスト動向、商品の売れ行き状況をもとに全体最適を考えて決定しています。
店舗において、実際にゲストと接するキャストの役割は大きい。目標の達成のためには質の高いゲストサービスと円滑な店舗運営が求められる。そのため、キャストの育成には特に力を入れているという。キャストをどのように配置して店舗運営を行うかは、目標達成の重要な鍵である。
【藤村】 キャストには、接客方法など具体的な動きについて徹底して身につけてもらいますが、働く上での考え方もしっかり理解してもらいます。キャストを育成するスーパーバイザーに関しては、時間帯責任者として実際にキャストに指示を出す立場になるので、接客面の指導に加えて、オリエンタルランドとしてのビジネスの考え方なども、きちんと理解してもらいます。
【小森】 店舗ごとにテーマに合ったゲストサービスや目標があるため、それに向かって全員が力を合わせてまい進できるような環境を作っていくことが大切です。
【藤村】店舗によっても個性があります。テーマの異なる店舗で働くことになったとき、今まで自分が考えてきたサービスとあまりに違って戸惑う部分はあると思います。
【小森】 ただ、根底にある考え方は同じですし、全員が力を合わる事が重要ですので、スーパーバイザーがキャスト一人ひとりと密にコミュニケーションをとって、店舗に慣れ十分な力を発揮してもらうためのトレーニングなどを実施します。全体の指揮を高める環境作りだけでなく、一人ひとりのキャストの状況をスーパーバイザーと密にコミュニケーションを取ることで把握しています。
東京ディズニーリゾートにおける店舗運営は、過去のデータや各店舗のユニットマネージャーによる状況予測に基づいてプランニングされている。しかし、開催されるイベントの状況や天候などによって、予測と違う状況になることもあるという。
【小森】 昨年、あるイベントにおいては、予想を上回るゲストにご来園いただきました。準備はしっかりおこなっていたのですが全く追いつかない状況になってしまいました。
【藤村】 前年の同時期の購買者割合や単価、入園者数などからある程度の予測を立てましたが、それをはるかに上回る状況だったのです。
【小森】 そこで、まずはマンパワー。シフトに入っていないキャストに出勤をお願いするなど、人員配置を見直していきました。しかし、パークの状況が予想を大きく上回る状況だったため、人員の確保が十分でなく、キャストの配置も万全とは言い難い状況でした。
【藤村】 ただ、そんな中でもしっかり店舗目標を達成できたことは良かったです。
【小森】 そうですね。限られたマンパワーの中で、売上を最大限に出すことができたことには満足しています。一方で、キャストの配置をしっかりできなかったことは課題として残りました。結果、十分なサービスが提供できず、ゲストに対しても、ゲストサービスを担当するキャストに対しても申し訳ないという気持ちがあります。
【藤村】 しかし、その苦労は経験として残りますし、次にそれを活かすことができました。昨年は、イベントの4ヶ月前から新たにキャストを増員し、イベントまでに十分なスキルを身につけてもらうというプランを実践できました。他にもユニット運営のプランニングの際に前年度データだけを頼りにするのではなく、店長に独自の予測を立ててもらい、誤差を検証するようなプロセスも組み込んでいます。ただ、天候など予測できない部分もあるので、課題はまだあると思います。
【小森】 たとえば、暑い日には飲料は売れますが、溶けてしまうチョコレートは影響を受けます。また、雨が降れば屋内である商品店舗への来客数が増えることも少なくありません。
【藤村】 こちらが想像できないことが起きることもありますが、現場の応用力でカバーするしかないんです。そのためには、日々の業務の中で、ユニットマネージャーが誤差の少ない予測を立てて、キャストはゲストサービスを向上させることが重要です。要するに、店舗全体で対応力を身につけて、色々な状況に対処できるようにするのが理想的です。
【小森】 店舗全体で良くなったという意味では、先のイベントで困難を乗り切ったことにより、キャストの連帯感、そして目標に向かう結束が強まったと思います。
【藤村】 店舗運営というものはチームで行うものですし、チームで何かをやり遂げる達成感というものは得がたい経験です。また、その経験を次に活かし、改善を繰り返すことが目標達成につながると思います。
商品本部では、質の高いゲストサービスと売上の最大化、そしてコストの最適化という目標を掲げている。その目標を達成するためには、店舗全体で意思を統一して取り組むことが必要だ。また、サービス、売上、コストのどれかに偏らず、バランスを取ることは非常に難しい。それでも、商品販売部は着実に経験を活かして結果を残し、オリエンタルランドのビジネスに貢献している。